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送る悠莉@共産党
2025/5/8 03:17( ˙꒳˙ カフェ2 )
「入って良いよって言うまで待っててね」
「はい!分かりました!」
出来る限り元気良くはっきりと聞こえるように返事をする。その返事を聞くと同時に、彼女は後ろにある扉を開けて入って行った。そうして、数分経たないうちに呼ばれる。
ドキドキしながらも入ってみると、面接室のような硬い雰囲気はなく、可愛らしいものや写真などで溢れていた。そんな雰囲気に少しの緊張感もほぐれ、彼女が指した椅子に腰を下ろした。目の前の机には数枚の紙が置いてある。これから手続きを進めていくのだろうか。
「それじゃあまず、この紙書いてもらおうかな。書けるところまでで大丈夫だからね」
そうして受け取った紙とペンは、履歴書のようなものだった。名前、性別、生年月日、年齢、身長、体重、好きなもの、嫌いなもの、アレルギー、何のハーフか、特性や能力等が書かれていた。私は覚えているところまで書いて渡した。
「ときちゃんは文鳥のハーフか。可愛いじゃん!これは私がしっかり保存しておくからね。分からないところは、これから調べたり見付けていけば良いから大丈夫よ」
その後、彼女は私の書いた紙をファイルに入れた。ファイルには他の人が書いた紙もあるようで、アルバムのようになっていた。チラッと見えただけだが顔写真も貼られていて、優しそうな人が何人もいた。これから先の幸せを夢見て、自然と笑みがこぼれる。
「じゃ、これから仕事の説明していくね。メモは…紙とペン貸してあげるから、書きたいなら書きな」
受け取った紙とペンをいつでもかけるように準備をし、準備完了を目で伝える。
「就業時間は7:00~22:00で15時間だね。長いと思うけど、やること自体は日常と変わりないから気にならなくなるよ。仕事内容は、まったり過ごすだけ!」
私は思わず驚きの声を上げる。就業時間に関しては仕事ができるなら別に良いと思っていたし、それでお金が貰えるなら受ける気だった。ただ、仕事内容が引っかかった。まったり過ごすだけと言われると闇バイトが連想される。給料についてはまだ聞いていないが、甘い話過ぎて怪しい。カフェの従業員なので、清掃や接客などを想像していた。そんな私にとっては、想像の斜め上の仕事内容であった。
「驚くのも無理ないよね。イメージ的には猫カフェの猫みたいな感じ。お客様とか他の子達とお話したり遊んだりするのが仕事かな。他の雑務は私含め他の人達がやるから、気にしなくて良いよ。ときちゃんは自分の仕事だけやってね」
理解は出来たが、私が猫側になるとは思ってもみなかった。店名の動物もそこからきているのだろう。仕事内容的には楽だがやはり不安だ。私の想像していた仕事内容は他の人がやってくれるそうだが、なんだか申し訳ない。新入社員だから仕事を覚えてもらいたいという考えだと思うが、それでも申し訳なく思ってしまうものだ。
「朝昼晩決まった時間にご飯、たまに3時のおやつ付き、共有or個別の住居スペースで住んで貰うかな。衣服は言ってくれれば買うし、最初は配給で渡すからね」
ここに来て衣食住の話が来た。まさかそこまでサポートして下さるとは思わなかったが、ありがたく頂くとしよう。まず食だが、3食出るのはありがたい。それに加えておやつまで出ると言うならば文句は無い。次に住むところだが、共有か個人で住めるように用意してあるのは嬉しいところだ。ここはどんな感じなのかを一度見てから考えるとしよう。そして衣服だが、最初に配給があるのがありがたい。今着ているものでお客様の前に出るのは流石に失礼だし、着替えたかったのですぐにでも欲しいところだ。
さて、ここまでサポートが手厚いとなると手取りが気になるところ。色々と抜かれてかなり少なくなっているだろう。もちろんいくらでも受ける気ではあるが。
「給料の件についてなんだけど、基本的には毎月1万円かな。でも言ってくれれば個人的なものでもこっちが買って渡しておくし、給料使うのはほとんど無いと思う。ただ持ってるだけみたいになる子が殆どかな」
想定よりも大きく下回っていたが理由を聞くと納得した。まさかそんなところまで管理されていたとは驚きだ。例え給料が無くても必要なものや、欲しいものが買えるならばわざわざ貰う必要も無いのだろう。だが少しは自由に使えるお金が欲しいということで渡しているのだろう。
「場所とかに関しては後で回るから、ここのルールについてだね。まあ簡単なものしかないけど」
場所を覚えられるかは少し不安だが、生活していけばきっと慣れて覚えていくだろう。ここのルール。変なものは嫌だなと思いつつも、大切だと思うのでしっかりメモをする。
「1、他のハーフの子達をいじめたり仲間外れにしたりしないこと。2、お客様と楽しく遊ぶこと。3、新しく来た人を歓迎すること。4、勝手に外に出ないこと。これだけだよ。そうそう、このカフェ内は人の姿でも動物の姿でも良いからね」
どんなものかと構えていたが当たり前のことで拍子抜けした。勝手に外に出ないことだけ気になるが、勝手になので許可されれば出れるのだろう。悪いルールではないので気にすることはないだろう。どちらの姿もなってて良いということは自由に飛び回れる!幸せがまた1つ増えた。
「言い忘れてたけど私店長のルカ!よろしくね!これまでのことで何か質問ある?」
「お風呂ってどうしてますか?」
「あ〜それはね、カフェに備え付けの巨大なお風呂があるからそこで皆入ってるよ。色んな種族に合わせて作られてるからそこも安心出来ると思うな」
ここに様々な種族がいる。それにも配慮して作るなんて感心ものだ。それに今はすぐにでもお風呂に入りたいところだ。何日ぶりのお風呂だろうか。綺麗さっぱりになったあとは自由に飛び回る。なんて幸せなことだろうか。こんな幸せがこれから毎日続くなんて、言葉に言い表せないほどの喜びだ。
「他に質問ないかな?まあ、聞きたいことあるなら後から聞いてくれれば良いから」
それを聞いて私は頷く。気になるところはちょこちょこあるが、過ごしていけば解消されていくだろう。気になれば後から聞いても良いと言ってくださっているし。今のところは大きな不安点や嫌に思う点は無い。それどころか嬉しく思う点が多い。もう働く気満々だ。