誰もが学生の頃避難訓練を受けたと思う。
災害の予兆が来る前に逃げましょうというやつだ。
だが、知らない家に強盗として入ったら頭を殴られ椅子に縛り付けられナイフで殺すぞと言われている予兆はいつ予想出来るだろうか。
「まっまってくれ、君はこの家の住人かい?」
自分よりも年下のひょろっとしていてこの令和には物珍しい下駄を履いた少年に尋ねる。
『いやぁちがうね残念ハズレだ』
もしこれが恋愛映画なら正義のヒーローが助けてくれるのだろうか?
そして、キス…なんてことを妄想している隙ではない
今は助かる方法を見つけなければ。
「僕は強盗なんだ、君の目的はなんだい?」
『…殺しが合法になる時を知ってるか?それは戦争だ、戦争では悪い奴が無惨に殺される』
「それが?」
『つまりだな、今この状況であんたを殺しても合法になるってことだ』
……話が通じない、
「僕は、…」
ガチャ
玄関扉の方から家族の和気あいあいとした声が聞こえてくる。
まずい、非常にまずい、この家の家族が帰ってきた
「と、とにかく今は逃げないか?君も見つかったら大変だろう?」
『…………………そうだな、ひとまず撤収だ』
僕らが侵入してきた窓から逃げる証拠一つ残さないように。
走って、走って、走って逃げたはいいものの、何故少年まで僕についてくるのだろうか。
「…君の目的はなんだい?」
「さっきから質問ばっかだな、」
自分よりも年下の少年に言われ少しムカついた
「質問ばっかにもなるさ、急にぼくを縛ったと思えばナイフで脅して来るんだから」
『ふむ…それもそうか』
少年はなにやら納得したようだ。
それにしてもこの少年の目的は何なのだろう。