齧る鉛筆
2026/2/4 13:35ピラリと鍵穴の住民
(⚠️ばか長い!!⚠️コメ欄に自作小説投稿します、誤字あるかも、下手。期待しないで。悪口じゃない素直な感想もらったら嬉しい!)
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齧る鉛筆
2026/2/4 13:35
〜ピラリと鍵穴の住民〜下書き小説 1話「光のガラス」 〝光のガラス〟という世界では、今日もガラス妖精が黄金の空へと飛び、友達と話し、笑って、時には歩くとコツコツと鳴るガラスの地で、自分の世界にひたる。とにかく皆、共通してるのは〝ポジティブ〟だってこと。ガラス妖精はすぐ落ち込む、落ち込むと頭の上にプカプカ浮かんだ星の明るさを失い、まっくら。と思ったら、他の友達とまた話して笑って、また光を取り戻す。前向きでみんなしあわせそうに過ごす。だが、それはだれかにとってナイフになっていた。
「ねぇねぇ!」ガラス妖精のゆうきくんが笑顔でわたしに話しかけてくれた。わたしは光ガラスでつくられたブランコから降りて 「なぁに?」と微笑んで返した。ゆうきくんは明るくふしぎそうに言った。 「なんでキミ、名前ないの?」わたしは唇をかみしめて、「えっと…」とつぶやき苦笑いした。 ゆうきくんは目をキラキラさせて言った。「もしかして!かくしてるの?すっげえ名前だから?!」 「ち、ちがうよ!」 「教えて!おねがい」ゆうきくんはわたしの肩をゆらし、わたしのガラスの髪の毛が顔にあたるカチッという音がうるさく、こわく聞こえた。 「えっ…と」わたしは、わたしは笑顔をつくって「わたし、ないんだ」と言った。するとゆうきくんは間を開けて、笑顔でこうつぶやいた。 「へんなの」 ゆうきくんはそのまま、ガラスの滑り台ですべる男の子に話しかけられ、遊びに加わった。 バキッ! わたしはハッとして、下を見た。地にわたしがかみしめた唇のガラスがわれて、ガラスの破片が落ちていた。あせってわたしは空中に浮かび、ガラスでつくられたビルとビルをくぐり、くぐり、だれもいない、光のないガラスの森にはいって、わたしは座りこんだ。木にもたれ、ふりむいて、ガラスに反射するわたしの顔を見た。涙がポロポロでていて、頭の光が真っ暗。顔にヒビ、まだ心も幼いわたし。 ヒック…ヒック… わたしは下を向き、涙を落とし、こう思った。 …やっぱりママは、わたしのこと捨てたのかな?ねえ、ママは、やさしいママの代わりの先生がわたしに部屋をわたして、世話してそばにいるの、知ってる?でも、でもね、ぜんぜん満たされない、さびしい…なんで名前つけてくれなかったの?いらないの…? すると 「…!」 わたしは周りを見渡した。だれかに呼ばれてる気が… 「…!!」 わたしはガラスの木をくぐり、ビックリして目を大きくした。地面に、とても大きくて底の見えない鍵穴が、「立ち入り禁止!」「入ったら戻れないよ」とかかれた立ち入り禁止シートに囲まれていたの。 「…!!!」 わたしは分かった。ママだ。思いっきり飛び込み、深く深くわたしは落ちた。ママに会えるなら、大丈夫…落ちる感覚が、浮いてるみたいだった。
2話「頭の星と、壁の暗さ」 「うぅ…」目を開けると、辺りはまっくらで、壁は白のコンクリート、古びててカビくさい。左右を見ると、ここはせまい、細長い廊下で、壁にランプはあるけど、チカチカ点滅していたり、ついてなかったり。天井は真っ暗の闇。 「ママ…」立ち上がろうとした、でも立てない、痛い。ひざを見ると、膝のガラスが割れて中の空洞が見えるくらい大きなヒビ、もしや落ちたショックで…? こわい、ごめんなさい、いたいよ、こわい、さびしい…… わたしはまた涙を出して、声を殺して、地面の黒カーペットにうずくまった。 「「へんなの」」 わたしの頭の光は、暗さに満ちていた。 …すると。 「俺の前で泣きべそかいてんじゃねぇっ!!」 振り向くと、壁のコンクリートに、大きな男の顔が…!
「壁がしゃべったぁ!?」わたしはそう言って、涙目のまま死んだふりをした。ドキ、ドキ。 「いやタイミングずれっずれじゃねぇか、てか死んだふりて、俺は熊か!?」わたしがキョトンとしていたら 「ツッコめ!壁やないかーいって!!」 「か、かべやないかぁ〜い」 「よろしい」 壁は目を閉じてドヤ顔を浮かべ、フンッ…とした。怖いと同時に…なんか、おかしいけど、わたし、すこしホッと安心してしまった。わたしは壁に生えてる顔をじっくり見たくて、好奇心で近づこうと立ち上がろうとすると… 「立つな。痛いだろ?」と真剣に言われたので、ビクッ!としながらわたしはまた座りこんだ。壁は続けて言った。 「自己紹介よりまず…ここを説明しようか。だっていきなり目覚めたらくら〜い廊下!そして突然のしゃべる壁、し!か!も!イケメン顔!!(イケメン顔?)混乱してるだろうしな」壁はゴホンと咳払いして、わたしに丁寧にゆっくり語ってくれた。 まず。ここは〝闇の鍵穴〟という世界だ。ここに落ちてきたやつらは〝鍵穴の住民〟もとは光のガラスのガラス妖精だった。全員どっかに鍵穴がある。胸や腕、手のひらやさまざまだ。ちなみに…俺だったらおでこ、ほら見てみろ!空いてるだろ?鍵穴が。それは心を閉ざしてる証拠、なにか傷ついた過去があるからだろうな(わたし、さっき傷ついて落ちてきちゃったな……)そして人の形までも、心の比喩表現に変わる。俺みたいに壁だとか… 私は心配になり、聞いた「なにか、傷つくことがあったんですか…?」 すると「しょうもねぇことだ。聞かんでよろしい!」とニヤッと笑って返してきた。壁は続けた。 んで、この世界のボスは言ったんだ。心が傷つくなら、ここも、光のガラスのガラス妖精たちの心も、全部みんな消してあげよう!とな。 「消すなんて、だめだよ!」 私は言った。すると壁は「だろ?消したら、生きてないのと同じだもんな」と言い、少し間をあけてこう呟いた。 「お前なら、止めれそうだな…」わたしは聞こえてたので「え!?」と驚き、驚いたと共に頭の星がパアッと光った。壁は焦って声を荒らげ、話を変えた。 「と、とにぃかぁく!!この話は置いとく!次、ここの説明行くぞ!」 ここは…一見ボロッボロな廊下だが、じつは鍵穴の住民が最初にたどり着く〝迷い心〟という廊下だ。嫌なことにまだ余韻が残り、激しい過去の迷いがある奴は、廊下を抜けても抜けてもここに戻って、ループに抜け出せなくなる廊下だ。俺もその一人。 わたしは不安げに聞いた。 「出口はないの…?」 「そりゃあ、お前次第さ」 「わたし次第?」 「お前が過去の嫌なことを思い出さず、楽しく笑ってくれたら、出口は自分から出てきてくれる」 「そっか…じゃあ、壁おじさん」 「おじさんじゃねえ!お、に、い、さ、ん!!」 「か、壁おにいさんもここから出ようよ!わたしと一緒に!」 壁おじさんは唇を噛み、目線を下にむけて眉間にしわ寄せてから、顔を笑顔に変えて笑って言った。「結構結構!俺はここにいる」 「えっ」 「あとで話す。とりあえず廊下を歩きながら話そう。ここに突っ立ってるだけじゃ何もならんしな」すると、壁は横にスーッ…と顔だけ移動した!顔、動くんだ…
3話「迷い心」 点滅したランプのオレンジ色の光が壁に反射する。わたしはその光を頼りに、壁といっしょに廊下を歩いた。時々ドアが見つかるけど、鍵がかかって開かないドアばかり…同じ廊下を行ったり来たり、曲がり角を見つけた、と思えば行き止まりだし、壁から「わっ!」と顔を出して驚かしてくる壁に魂が抜けるほどわたしはビックリするのでスムーズに探索は進まなかった…なんやなんやあり、歩きながら、壁は横にスーッ…と顔を動かしながらわたしについてきて、わたしにこう言った。 「なあ、お前。名前は?」 わたしは立ち止まった。言えない、言いたくない、思い出したくないことだから、黙った。壁おじさんは静かに言った。 「…ないのか?」わたしは「ぅ…」とつぶやき、もう…泣きそうになった。涙がまた出てきそう、目頭が熱い、息が浅くなるのが分かる、心がドク…ドク…。すると壁は早口で言った。 「ピラリ」 わたしはどういうことか分からずオウム返しで「ぴら、り?」と言った。 「そうだ、お前の名前だ。ピラッと光って笑ってほしいから…お前さっき笑ったら、すごく、すごく綺麗だったからな。いやだったら、全然……」 わたしは壁の顔にガバッと抱きついた。 「おぉい!?な、な、な、なにしてんだ!?!」 わたしはポロポロ涙をこぼした。うれしい、うれしかった。ここに居ていいよって言われたみたいで、うれしい、うれしい、うれしい、ありがとう、どう言えばわからず、わたしはただ抱きついて離れず笑顔のまま「ありがとう…」とつぶやきながら泣いた。壁は涙に気づいたら、落ち着いた声になり優しくほほ笑んで言ってくれた。「ピラリ、ほら、ピラリ。泣くなよ…な?」 壁は続けて言った。 「実はな、俺が中年のガラス妖精のとき、お前、ピラリみたいな娘がいたんだ」わたしはコクリと返事のつもりで頷いた。 「俺は花屋さんになりたかった、花を調べるのが好きで自然も好きだ。でも妻がいる、だからその夢は手放し、家族に集中した。でもなぁ…妻とはなんやかんやあってだな…はは、離婚しちまって…」 壁は眉間にしわ寄せて、下を向きながら何かをこらえるように、 「娘を俺一人で育てることになった。俺は娘をとっっても可愛がって、心配して、いつも心配して、愛して…でもそれが、娘の行方不明事件と繋がった」壁は続けた。「俺は娘を…愛しすぎて、苦しくさせてしまってたんだ、娘を守るために自由を、取り囲んでしまってたんだ、だから娘が苦しくて、泣きながら出てって、探しても見つからないままで、俺は、俺は…落ちた。鍵穴に」「…うん」「それで、俺は壁になった。あ…急に重い話して…ごめんな!悪かった!すまんすまん!取り乱したわ」と言い笑顔を作った。私は思ったことを言った。 「……強いね」 壁は「弱ぇよ」と言った。 すると… 壁のおでこにある鍵穴が カチッとなって、透明になり、そして消えた。 わたしはビックリして「消えた…」とつぶやくと、壁は弱気な顔から目覚めたようにハッとして「知らねぇよ!」とあわてて、まるで風が壁に触れた音のように小さく「でも、ありがとな」とボソボソと唇をとんがらして言った。わたしはニヤッとして、自分のガラスボブヘアーをゆらして壁から離れ、前かがみで「じつはわたし、耳がいいんだ」と言ったら「は!?いっ、いちいち言うなそんなこと!」と笑って壁は言った。 4話「光が離れる」 キィ… 振り返ると、さっきまでカギがかかっていた黒のドアが1個、白光を漏らし開いていた。「さっきは開かなかったのに!」壁は落ち着いて言った。「ピラリの迷い心が晴れた証拠だ。行って来い、俺はここにいる」わたしはそれを聞いて思わず「そんな…やだよ、せっかく会えたのに…」 壁は、今にも泣きそうなわたしに大声で明るく「ピラリ!」と言い笑って言った。 「また泣きべそかくつもりか?!泣くなピラリ、お前にゃたっくさんの可能性が光ってる!行って来い、ここの奴らのかたい心をその光と笑みでとかしてこい!!」 わたしは同じように笑って、壁のほっぺにちゅうをした。ピキッと壁がきしんだ。「………は?」わたしは星をまぶしく光らせ「ありがとう、わかった。わたしがんばるよ、壁おじさん」と言って手のひらを出しハイタッチを求めた。壁は固まったが、すぐ返事を言った。「だれがおじさんじゃ!手なしの壁!!ハイタッチできん!ったくもう」わたしは涙を我慢し、手を振りながら止まって、また振って、振って、でもやっぱり止まったら「どっちやねん!」と言うので、白光に吸い込まれるよう、外へ出た。
齧る鉛筆
2026/2/4 13:37
5話「階段とハート男」 まっしろな光に包まれ目を閉じた。歩いてるのか歩いてないのかわからず、目を開けると、知らない世界が広がっていた。それはそれは真っ暗な空と黒の見えない底、目の前には横長の階段が、奥が見えないほど上へつづいていた。「こわい…」私の声が「こわい、こわい、こわい」と響いた。元の場所に帰ろうと振り返ったら、ドアが消えて壁だけになっていた。そんな…でも、でも行くしかない。わたしは長い白のスカートのはしを持ち、階段にのぼった。階段はわたしの顔が反射するほど白くてキレイ、うつる顔の瞳は黄色く星のよう輝いてふるえていた。 わたしはこわくてゆっくり少しずつのぼっていった。チラリとなんとなく横を見たら、プカプカ浮いてる白の短い階段に人がだらしなくだらけいた!! その人は頭にピンクの大きいハートをかぶっていて、真ん中から寝顔を出していた。黒のダボダボなセーターを着て、靴下はピンクハート柄、ピンクのスリッパ、黒のズボン、そして首に鍵穴、白目をむいていた。わたしが「あのぅ…」と声をかけて起こそうか迷っていたら、「アサノォ…アサノォ…」と苦しげな顔で唸り始め、底に落ちそうだった。わたしは「あぶない!」と叫び、あわてたと同時に太陽のようまぶしく星が光った。「まぶしっ?!」そのハート男は目を覚まし階段から落ちて(あっ!)見事にわたしのところの階段をつかみ、はいあがった。「あ"〜ねむ…ぜんぜんねむい…ってキャーッッ!!」乙女のかわいらしいポーズをして、真顔で低く「だれだキミは」と言ってきた。ハートはやせたスリムな体型で、わたしから見たらすごく身長が高くて、わたしの顔に長い背のカゲが落ちた。こわくて後ずさりすると、ハート男のクマがついてる半目がだるそうなまま「あ〜!オレとしたことが、ごめんね、こわがらせたね、え〜〜っとこういう時どうすればいいんだっけ?」とあわてた素振りをした。わたしはそれを見て、やさしいのかな…? と思い、「わたしピラリ」と名を言った。すぐに「あっ、この〝ピラリ〟はつけてもらったの!さっき」と付け足した。そしたらハート男はするどい目つき(元からかな?)でこっちを見て「壁のあいつ…か?」と静かに低く言ってきた。わたしが「え?知ってるの!?」と聞くと「あぁ知ってるさ…アイツ、本当にマジで、イヤなやつだよな」わたしはズンッとおもりを頭に乗せられたかのように気分が重くなった。ハートは若い顔つきを引きつらせつるつるのおでこを光らせて大げさに「だってあいつ、オレが初対面のときふざけて指でさ、目潰ししただけでさぁ、土下座させられたんだぜ?!ひどくね?」 わたしは目をつぶり、イメージ図(壁さんが「なにしとうねん!土下座しろ!いたいわ!あと若いな、若いのにこんなんさせてごめんな?でもいたいわ!」と言ってガミガミハート男に説教する図)を想像してから「それはダメだと思うよ…」と言った。ハート男は「えっ、そうなの?オレあれかに肩組んだりハグしたり驚かしたりしてたけど…」とキョトンとして言うのでわたしは「初対面の人にハグは相手が恥ずかしがると思うよ」と見上げて言うと。ハートは低く、ニヤけて「あぁ…だからオレ、女好きとか思われてたんだ……」とボソッと言った。わたしはどうしよう…と思い気まずくなっていると、ハート男は「ピラリ!オレ、ハートって呼んでね」とニコッとして決めポーズをした。 6話「首輪をつけられていた」 コツコツコツ、わたしの足音とハートの足音がバラバラに響いていた。階段にのぼってものぼっても目的地が見えない…つかれながら歩くわたしの手に、おふざけかイタズラか、指でツンツンしてニヤニヤしているので、軽くやさしくハート頭をチョップすると「うわ〜やられた!」と幼く笑みを浮かべ、スンッと真顔になり、言った。「オレ、息苦しいんだよ、首に鍵穴があるからか、分かんねぇけどさ」ハートは爪の長い、指も長い手を口元に隠しながら言った。 「オレさ、考えてみたんだよ、なんで穴が首なのか、んでわかったんだよ、言ってもいい?」「うん、いいよ」「…ありがと。オレ、首輪をつけられたことあんだよ」「えっ!?」「ちがうちがう!」ハートは照れた顔であわてて弁解してつづけた。「オレ、ガラス妖精の中学の時、人気者だと思ってたんだけどさ〜な〜んかキモがられたらしくて?距離がベタベタするから?とからしいけど、ワケわかんねぇよな。んでアサノっていう女の子はすげぇ傷ついたオレをなぐさめてくれたわけ、好きになっちまった。パシリにされることも、カレシ?のフリをさせられることもあったけど好きだったからイヤじゃなかった。でも最近知ったんだ、そのアサノが、オレを女好きのうわさを流してた。んでさぁ…ヒック…な、なんでかなぁ…オレなんかしたかなぁ…うぅ、そのアサノはオトナになったらケッコンしちゃって、なんか、だれも見てなかったんだんだな、オレのことって思ってさ、でさぁ、で…」「ハートさん」ハートは手を顔から離しニコッとして言った。「忘れといて!今の!けっきょくオレアサノに首輪つけられてたっだけ!あ〜つかれた」ハートの鍵穴は消えてなかった。わたしは思った。人の心が救われる形は人の過去によるんだ。壊れた形も、すべて違う。 7話「にぎやかな隙間と門番」 コツコツコツ…なにやら登っていると数々の笑い、雑談、会話のトーンが聞こえてきた。上からだ。ハートは明るく言った。「上には鍵穴の住民らが住む街があんだ!オレは入ったことない、いや入れねぇんだ…その理由わかる?!」「ううん」「まあ、もうすぐだからきっとすぐわかるさ」 私たちは足を止めて立ち止まった。左右に浮いた赤と緑のランタン、高いレンガの塀と、目の前に大きな扉、カギ、板、鎖、やりすぎなひど閉じ込められていたが、ちょっぴり開いてる扉の隙間からあのにぎやかな音が、なつかしく聞こえる。そしてその前に立つ門番らしき人物が…!!その人物は眉間に皺をガチッ!ときざみ、背筋をピンッとして長い緑のロングヘアーをゆらした。そして足がなく、上半身が地から浮いていた。どうなってるんだろう…と見ていたら、葉っぱでできた手のひらをピシッと下にして、緑の瞳でギッ!とわたしを見た。ハートとわたしがいつ話すんだ?と震えていると、トーンがとっても暗く低い声で「…小娘とピンクの。ここに来た目的を無駄なく短く答えろ。今すぐにだ」とだけ言い、目をつぶって黙り込んだ。ハートは門番らしき人物?の胸にある鍵穴を見つめながらため息をして言った。「門番さ〜ん?オレ何回目だと思ってんの?オレが門番に追い出される数たぶん二億こえてるぜ〜?」「……百六十九回だ」「うそだろお前…」 門番は男の顔つきで、ほっぺにある緑色の丸が描かれたメイクを手のひら(葉っぱ)でさすりながら、目を開け「答えろ。まずその小娘から」と言い緑のマントをなびかせた。わたしはムッとして「ちがう、ピラリ!わたしは小娘じゃない」と言ってしまった。すると門番は「名前の話じゃないんだが…じゃあ、ピラリはどのような理由でここに?」わたしははっきりと「みんなの心を溶かすため」と言った。ハートはギョッとして「えぇ、そうだったのかよ」と言い、門番は眉間をピクリとさせてから「…あきらめろ」と言った。わたしはさらにムッ…としてほっぺを膨らませ光をまぶしくさせて言った「ごめんなさい、でも、諦めません!だって壁さんと約束したから」門番は〝壁〟と聞いて目を見開かせ、黙ってから「どうでもいい…」と言って、目線をハートに向けた。「ピンクのは?」「ハートだ!オレは!」「じゃあ、心臓の抽象形」「やめろよその呼び方ぁ!」ハートは手を胸において言った。「オレも町に…入りてぇな」「無理だ」「なんでぇ〜」門番はハートを見下ろし「私は門番のモバン、門番は安全を保護するための者、貴様を門に通したらなにか事件をしでかすだろう」「まぁ、そうかもしれないけどさぁ…」ハートはモバンの言葉を聞き、なにかイヤな事を思い出したみたいに、とても暗く悲しげなしょげた顔になった。 そしてボソッと呟く「なんでこんなキチッとしてんのかなぁ…もっと気楽になればいいのに」…すると、左右のランタンが激しくグラグラと揺れだし、赤、緑、赤に点滅し始めた。門番は肩をガクッと落とし下を向きながらなにかブツブツつぶやき始め、わたしたちは冷たい風に撫でられ、そして同時に門番から出る重い圧と鋭い緊張に圧倒され動けなくなった。こわい。怯えるわたしの前に急いで守るよう立ったハートは警戒するよう門番を見つめた。門番の髪が緑から赤へとジワジワ変わる、そして完全に赤…となったら、顔を上げてハートと目を合わせニヤッ、と口元を歪ませ怖い笑みを浮かべ、高い声で言った「気楽になれ?ハハ…ハッハッハ!!」門番はレンガの壁を思いっきり拳でダンッ!と殴った。「笑わせるなよ、なあ!?聞いたか?傑作だよ!」髪がまるで信号機のよう緑色に戻ってゆき、苦しげな苦痛の顔を浮かべ低い声で「うるさい…!人様の前だ、私から出てくるな!」そして赤「お前さぁ、ずうぅっと親から言われた〝正しくなりなさい〟に執着してるよな、お前。才能あるよ!冷たいロボットの真似する才能」そして緑「黙れ!」そして赤「なんで?俺はお前の本能だけでつくられた人格だ。お前が俺をつくったんだ」緑「やめろ」赤「やめないさ!」緑「出ていけよ!!」バチンッ!門番は自分の類を強くビンタして、よろけて、緑の髪を揺らし、わたしを見てこう言った。「すまない。汚物を見せてしまった」ハートは申し訳なさそうに「いや、オレこそ…なんかごめん」と言い頭部をポリポリかいた。門番は言う「私はモバン、ここの門番を務めている者だ」ハートを見て「…本来はお前のような者は街で危険を起こす可能性がある。そのような者は入らせることはとてもじゃないが…無理だ。だが私は今汚い人格を出してしまった、そのお詫びとして。門を通過することを許可する」ハートはパアッと顔を明るくして「ええ!?」と嬉しそうに声を出したが、すぐ目をそらして「でもオレ危険を起こす可能性があるんだろ?」と言ったら門番は低く、背筋をまたピンッと伸ばして「私も責任を持ち、見張りとして共について行く」と言った。門番が鍵で扉のロックを開けながらわたしに言った「こむす…ピラリ。ピラリはさっき話す壁と会ったのか?」「そうだよ!優しいよ」「………そうだな」わたしはあまりにも優しい声で言う門番を驚いて見上げると、門番は照れたように「とにかくっ、私が言いたいのは、壁は門番でもある。私がここにいなくとも、迷い心という廊下を管理する壁が、不審な者を見分ける見張りとしても役に立つのだ、だから私はここにいなくても安全性はある!アイツとはただの見張り仲間!以上だ!!」ハートはわたしの隣に近づき小声で「急に興奮しだしたよこの門番」「聞こえてるぞ」「ひいっ!?」
齧る鉛筆
2026/2/4 13:38
8話「個性豊かな鍵穴の町」 わたしたちは中にはいった。まっさきに私とハートは目の前の広がる背景の賑やかさと独特さに目を奪われた。背の高い店と店のすき間にある横長の道にいろんな人が行ったり来たり、立ち止まって会話をしていたり、空に浮く白い階段を集めるスーツを着た天使、信号機を地面から生やしながら歩く黒色の人、あわてて「明日ってなにー?!」と泣きそうな声で走り回る顔のついた小さなカレンダー、ルールはなし!と書かれた看板の横にある図書館、人生の走馬灯を見れる映画館、色屋さん、屋さん屋さん(屋さん屋さん??)その他もろもろ情報量が多く、わたしは頭がパンクし体がふらつきハートにもたれた、ワクワク、楽しみ!色んなところに行きたい!という気持ちと、ここに住む人たちはどんな悩みを持ってるのかな…という好奇心と不安な気持ちが混じって、わたしは目をグルグルさせ「モバンさん、わたしどこから行けばいい…?」するとハートが「モバンはいま集中してる」わたしがハートの後ろを見ると、モバンが真剣なオーラでブツブツつぶやきながら扉に長いモノサシをくっつけ1cm1cm丁寧に測って、鎖をつけて、角度を決めて、構図を決めて、うーん…と考え、モバンはまたモノサシで測って、うん…と頷き、またモノサシで測ろうとしたのでハートが「もおいいだろっ!オレ先行くからな!こんばんわ〜!」と言い顔のある、地から浮いてる黒いカーテンに近づいて(やばい止めないと!)ハートは「ヘイヘイそこの美しいカーテンさん。オレのこと覚えてる?」黒カーテンは「だれデスカ」と言いハートはうんうん、と頷いて「そりゃそうだ、だって初対面だもん」と言い黒カーテンに顔を近づけたら「近いデス!」と言われハートは押されて尻もちをついてキョトンとしていた。「おい、お前……」やっと扉の閉じが終わったモバンはハートの目の前に立つわたしの近くに来て歯をぎりぎりさせ、ハートに近づき睨むよう見下ろして「私が目を離したら、やはりこういうことをする…しかも初対面に顔を近づけるだと!?距離感を覚えろ」と叱ったが、ハートは「え?え、あ、ああ、わかった!」と言い笑顔を浮かべたのでモバンは自分の顔をバチッと叩きため息をついた「聞け、ピラリとピンクのハート。まず泊まれる所を探すぞ、私は確かに町にある店の場所や、どこに誰がいるかは知っているが、誰がどんな性格かは知らない、それは私が深く人と関わらないから来たミスだ。そしてこの町には宿屋はない…泊まらせてもらうしかないようだ」モバンはハートに手を伸ばさず自分で立ち上がらせて「探すぞ、勝手に行動し離れるな。失礼極まりない発言もなしだ」 … 「すみません」モバンはわたしたちを後ろに立たせ、眉間をビキッ!背筋ピンッ目はギロッとして、とある二人に声をかけた。その相手は男女二人、頭がコップで、コップの表面に目、鼻、口の顔のあるメガネをかけた青スーツの男と、壁にへばりつく青スーツの女だった。コップ男は頭に入ってる赤ペンキをこぼさないようバランスを保ちながら、モバンを見上げ、「うおっ!?」とビビリ散らかした。モバンは壁にへばりつく女を凝視しながらコップ男に「私は門番を数年前から務めている者。この子たちが泊まれることが可能な安全性の高い場を探している、貴様は知っているのか…」わたしはあわてて遮って「モバンさん!言い方がこわいよっ、あの、すみません…知ってますか?」と聞くと、コップ男は冷や汗をハンカチで拭いながら「いやはや!大丈夫ですよ、ですが私階段を集める仕事の上司でして、そのような場所は行ったことなくてですね…ええ」と言い、女に「カカベ君、聞いてます?ああ困った部下だ…」とヘラヘラしながら言っていたが、急に真顔になりドスのきいた低い声で「もう壁に二度と触らせませんよ?」と言うと、カカベという女はビクッとして壁に抱きついたままこっちを向いて「それだけはやめてください!!」と声を荒げて、壁の方を向き、つぶやいた。「門番の人、こわい…だから場所言いたくない」モバンは唇を噛み締めて黙り込んだ。ハートは「わかる」と言いニヤニヤ顔をしてモバンをツンツンした。モバンが下を向き、緑が赤にジワリと…わたしは思わず「モバンさん」と呼び止めた。モバンはハッとして髪、瞳、ほっぺの丸すべてが緑に戻り目だけこちらを見た、わたしは続けた「門番のモバンさんは、がんばってるんだよ?こわいけど、本当はいい人なの、わたし知ってるよ」とハキハキと言って頭の星を光らせた。わたしはハートさんを見上げ優しく言った「ハートさん、思ったことをいうのは、相手をきずつけるかもしれないよ」ハートは黙った。わたしはコップ男にも見上げて近づいて「モバンさんはこわくないよ、ほんとうだよ」と言い、カカベに近づき、カカベに優しく「ほんとうだよ、門番のモバンさん。優しいよ」と言った、カカベは「ほ、ほんとうに…?でもこわいよ?」「モバンさんも、鍵穴があるでしょ?傷があるから、怖く見せちゃってるんじゃないかな」モバンは焦ったように「待て!そんな事…人に言うな」と言ったがわたしはカカベの返事を聞いた。コップ男は目を細めカカベを凝視、ハート男は自分の言葉を反省してるかのように腕を組み目をつぶって凛々しい顔で下を向いていた。モバンはわたしを見つめていた。カカベは言った「わかった、じゃあ言うよ」
齧る鉛筆
2026/2/4 13:38
9話「ブドウとモノクロ」 わたしとハート、モバン、コップ男はカカベについていきながらブドウジュース屋という店に行くことになった。わたしは歩くのが遅いでモバンに肩車してもらい、まるで高いタワーに登った気分で辺りを見渡していた。カカベはずっと楽しげに笑顔で壁の話をしていた「ブドウジュース屋の壁はブドウの匂いが香る黒い木材でできていて!そのガチガチ質感と匂いと触り心地が私の好みでっ!それで皆にも披露したくて!!」コップ男は歩きながら笑みを浮かべ「はは、また壁の話ですかぁ?カカベ君、皆様は壁を見たくて歩いてる訳じゃないですよ?」カカベはしょんぼりして「はぁい…誰か壁の良さを分かってくれたらな…」わたしは笑顔で、壁おじさん(誰がおじさんだっ!と言われそう)を思い浮かべて「わたし壁さん大好きだよ」と言ったらカカベが急に立ち止まりコップ男の両肩を掴み、激しく揺らしながら興奮したように笑顔で「ついに!ついに分かってもらえましたよコップ上司ぃ!!」コップ男はスンッとして低く「落ち着きなさい、それと歩きながら話しなさい、カカベ君が止まったら歩く時間が長引くでしょう?」と言うので深くため息をついてカカベは先頭でまた歩き始めた。モバンはなにか考えているのか、無言で、わたしを落とさないよう慎重に黙って歩いていた(モバンさんは足はなくて浮いてるから、スィ〜と移動してる感じ)そんなモバンにハートは声をかけた「オレも疲れたな〜!肩車して」モバンはギッと目を鋭くしてハートを見て「貴様、いやハート…ハートはサイズがピラリよりはるかに大きい、却下」ハートは怖がらず笑顔で「え〜?ケチだな〜」するとすぐにハートが真顔になり「すまん、ケチは余計な一言だよな」と言って、またニコッとして「机なしの空中腕相撲しようぜ!」と言ったのでモバンは呆れたように見つめ「なぜ…なぜ腕相撲をしたいんだ」と言うのでハートが「じゃあジャンケン!」とグイグイモバンに近づくのでモバンは「や〜め〜ろ!私はいま考え事をしている。歩け、歩くことに集中しろっ」ハートは「へいへい」と言いながらニヤニヤして、モバンの無駄のない歩くスピードを真似してスピードを合わせた。モバンが歩きながら眉間に皺を寄せ目をつぶり 、目を薄く開け、ハートの肩に震えながら、手(葉っぱ)でチョンッと突いた、ハートは驚いたようにビクッとしてモバンを見上げ目を見つめる、そしてニヤッとして「なんだよ〜モバン」と言いモバンにツンッとつつき返した、モバンは不安げに言った「これが正しい距離感なのか?」ハートは真剣な顔になり、困ったように考えて「オレは、モバンが苦しいほど無理してなかったら全然いいぜ」わたしは頷いた。モバンは「……私は……無理をしていない」「そうか?」ハートがニヤニヤしながらそう言い背伸びしてモバンの頭を優しくなでなでしようとしたらモバンがビックリしたかのように耳を赤らめてハートの手首を掴み「や、やめろっ!なんだ、何がしたい!?」ハートは「ごめん、つい」と言い、どこが満足気に歩き続けた。 それをコップ男が細目で見つめていて、わたしと目があったらニコッと笑った。 、、、わたしたちがブドウジュース屋さんについたら、モバンが慎重にゆっくりわたしをコンクリートの地面に下ろした。見上げると、ブドウジュース屋さんは店と店に挟まれた四角形の形だった、カカベはワクワクしたように黒い木材でつくられた壁を撫でて、扉の横にある窓を覗いた(植物のツタが絡まっていて、カカベがそれをどかしながら覗いてる、コップ男はカカベの頭についた葉っぱを無言で摘んで取ってあげた)カカベは窓から顔を離し、パァッと顔を明るくしてこちらを向いて言った「オープンしてますよ!よかった、壁に触れる…私、ここでよくコップ男さんと飲みに来てるんで」コップ男は焦ったようにカカベの口に手をかざし言葉を遮るようにあわてて口角を上げ、激しく瞬きをして目を細め、笑顔を作って「いやはやいやはや失敬失敬!!これはですね仕事の休憩として来ているだけで、カカベは部下で私は上司で!ええ!それ以上もそれ以下でもない関係です!ははは!」カカベとわたしたちはキョトンとした。キィ…カランカラン、中にはいると、温かみのあるブドウの匂いとカウンターの上にある小さなラジオから聞こえるレトロな落ち着いた音楽が耳に流れた。誰かの咳払いの音、カランと鳴る氷の音、ブドウジュースを注ぐ音、わたしは店の雰囲気を見て思った。お、大人だっ…!わたしたちは周りにある椅子と机をよけながら(一人で座りブドウジュースを飲み終え俯き寝落ちしているヤカン頭の客から出る湯気を避けて通り過ぎると、他の席では三人や、二人の客が座って話したり、話さず飲んだり、バラバラな楽しみ方をしていた)カウンターの目の前にある、ちょうど皆の分が空いてる席に近づいて、わたしはカウンターに背伸びして覗いて見上げると、カウンターの向こうに、雲のようにフワフワ白い長髪で(腰まで長い)白まつ毛、白い眉を持つピクリとも表情筋が動かないくらい真顔で無表情の美しい女性のバーテンダーがいた。バーテンダーは自分の大きな黒のネクタイをキュッと締めて、突拍子もなくクルリと派手に一回転し、ピタリと止まってカウンターに肘をつき、どこからか出てきた綺麗なバラを口にくわえて指パッチンをわたしたちにして(皆ポカーン、コップ男はまたか…というように苦笑い、カカベは楽しげに見ている)ウィンクをして誇らしげに眉を上げ「ご来店ありがとうございます」という看板をカウンターの下から取り出し見せつけて、看板をカウンターの下に戻し、元の体勢にピシッ!と戻り、胸ポケットにバラを入れ、静かに目をつぶってガラスのコップをハンカチで拭きはじめた。わたしがワケもわからず立ったままでいると、コップ男が口元を引きつらせ「ここのブドウジュースは甘すぎず濃すぎず、気分をリラックスさせて、どこか懐かしみを感じるんですが、バーテンダーは、えぇ〜すこし…」バーテンダーは「なんだって?」と言うかのように片目だけ開けこちらを見つめるので、カカベが「元ガラス妖精でマジシャンやってたんだってさ!」と笑顔で言った。ハートはバーテンダーに顔を近づいて真剣に「サインください」と言おうとするのでモバンが肩を掴み「女性に顔を近づけるのは失礼だ。紳士でいろハート」と言いバーテンダーから引き離して、席に座らせた。コップ男は「よっこらせ」と言いながら足を組みパイプ椅子に座った。カカベもそれを真似して「よっこらせ」と言いニヤニヤしながら足を組んで座った、モバンはピシッと背筋を正して座った、ハートはだら〜ん、わたしはチョコンと座ってカウンターに手を置いた。カカベはニヤッとして指パッチンし「へいマスター、ブドウジュースを」コップ男がククッ…と笑いながら「ブドウジュースしかないんですよ、Мs.カカベ」カカベはムッ…とほっぺを膨らませて「いいじゃんコップ上司」と言った。注文を聞いたバーテンダーは手についてる黒手袋を外し(片方の手首に鍵穴が…)手をコキコキと鳴らし手袋をつけ、ズサーッと一番端に座っているモバンのカウンターに肘をつき、モバンの肩からガラスコップを取り出し(モバンは驚いてキョトンとしていた)まるで手からコップを出す魔法のように、コップが一つ二つ三つ四つ素早く出され(もうすでに氷が入れられていた)カウンターの後ろの棚の上に飾られた本物のブドウを持ち、カウンターに膝をついてゆっくりと手のひらでブドウを隠す、パッと離すと不思議なことに!ブドウジュースの入った瓶が!(ブドウワイン?と見間違えそうなデザイン)ブドウジュースはこぼさないよう普通に丁寧に一つ一つ注ぎ皆にスッ…と渡した。コップ男が申し訳なさそうに手をあげてニコッとして「いやはや失敬失敬、私のがないのはお忘れで?」バーテンダーは真顔のまま、手を振り「忘れてないよ」というジェスチャーをして、スッ…とコップ男にブドウジュースのはいった哺乳瓶を置いた。わたしも皆も、笑ってはいけないとわかっているのにプッ…と笑ってしまった(モバンさんも目を細めフッ…と笑っていた)コップ男は顔を赤らめて「ちょっ、ちょっとちょっと!」と立ち上がった。カカベは「まあまあ」と言いながらコップ男を座らせた、バーテンダーは後頭部に手を回し「いや〜すみません」というジェスチャーをした。わたしは「いただきます…」と言いおそるおそる飲んでみると、わたしは目を見開かせ、胸がじんわりブドウの匂いと、懐かしさで暖かくなった。まるで…… 「ごめんね、あとで戻ってくるからね」わたしはお母さんが来るまで、ガラスの時計塔の下でいい子に待ってた、でも知らないガラス妖精の大人や子供が通ったりするだけで、わたしのママは来なかった。いつまでも、いつまでも、ずっと…わたしは手のひらを見た、さっきママと手を繋いだとき、暖かくてポカポカしてて、ガラスの硬さもあるけれど、ママにしかない世界に一つの、優しい手だった、ママは優しい、だから、戻ってくるはず…… 「ピラリ?」隣に座っていたハートが飲み終えたコップをカラカラと揺らしながらこちらを心配した目で見ていた、わたしは「ううん、大丈夫、おいしいよね!これ」と言って笑いながら飲んだら、ハートが、コップ男とカカベの会話、他のお客さんの声、レトロな音楽、カランカランと鳴る氷の音、ブドウの匂い、すべてが忘れてしまうくらいに、まっすぐ真剣に言った「隠すなよ」わたしはビクッとしてハートを見上げると、ハートは話を逸らさず続けた「オレは普段から、悲しい過去もいやな気持ちもストレスも、かる〜く冗談やふざけにして忘れてきた。だから分かるんだよ、ピラリは笑うクセがあるんだよな?苦しいことがあると」わたしは下向いて唇を噛むとハートがハッとして「あ〜と!あ、今日いい天気だよな!?」ハートの隣にいるモバンは「天気という概念は闇の鍵穴にはない、空は真っ黒、時々白の階段が浮いているか、それを集める者がいるくらいだ」ハートはさらに焦ってわたしに「え〜っと、きっ綺麗だな〜ピラリ!まるでガラス!」モバンが「実際ガラスだ」と言うとハートがモバンの方を向いて「い、い、か、ら!オーケー!?」と言ったのでモバンが「い、いえす」と低く言った。わたしはさすがに心配かけてると思い、ハートに「もう大丈夫だよ」と素で微笑んだ。カラン、飲み終えたコップ男は(もちろん、哺乳瓶をコップに変えてもらいました)血管の浮かぶ、絆創膏が何個もついたゴツゴツの手と手を組み、肘をついて、ちびちび飲むカカベを見つめていた。わたしは皆が静かだったので、思わず気になっていた質問をバーテンダーに、いや皆に言うつもりで言ってみた「〝ボス〟ってどんな人なの?」ハートは笑顔で言った「ちょー優しいって聞いたぜ、会ったことないけど」コップ男も「私もお目にかかったことはありませんが、皆優しいと言うので…」カカベもバーテンダーも頷く、モバンは「確か、巨人で、町を抜けた先にあるお城に住んでいると聞いた事がある」ハートは「お城!?ロマン感じる〜ボスすげえ」と笑顔で言った。わたしは壁おじさんの言葉を思い出した。『んで、この世界のボスは言ったんだ。心が傷つくなら、ここも、光のガラスのガラス妖精たちの心も、全部みんな消してあげよう!とな』わたしは言おうとしたけど、やめた、言える雰囲気じゃなかったから。モバンはバーテンダーに言った「質問いいか?私とピラリ、ハートは泊まれる場所が今のところ見当たらない。ここに安全せ…いや、泊まらせてもらってもいいか?」バーテンダーは眉間に皺を寄せ、目をつぶり、白い髪を揺らし、凛々しい顔(やっぱり美人だなぁ)で考えながら目を開き、ポーズでO、Kと大げさに表現した。カカベは「えへへ、やっぱりバーテンダーさん面白いなぁ、こういうの好きだなぁ」とボソッと無邪気な笑顔で呟く、隣にいたコップ男は目を見開かせ黒い瞳で笑顔のカカベをジッと真顔で凝視して低く「………そうですか」そしてボソボソ呟いた…「なぜ私には言ってくれないんでょうか」小さな声だったので聞こえなかった。コップ男はあわてて自分の口を手で覆いかぶせ、あわてて、聞いていたかどうかをうかがうようカカベの顔を見る、カウンターの表面を指でなぞるのにカカベは夢中、コップ男はホッとしたよう肩を落としたが、空っぽのガラスコップを持つコップ男の手は強く握られ、手の甲には血管が浮かんでいた、そしてプルプルと震えていて、ガラスコップが指からすり抜け床に……パリンッ!!ビックリしてわたしたちがコップ男の足元を見ると、落ちたガラスコップがひび割れ、破片となり散らばっていた。わたしがビックリして、モバンは素早く近づき、危ないのでコップ男を離れさせようとしたら、コップ男は冷や汗をかき、震える声で「…しまった…油断した…やらかした、嫌いだ…まただ、この音は、この音だけは…」と言い、息荒く続けた「誕生日、あの子に、コップを買って…ちがう、だめだ、ちがう!全て、もう忘れると決めたんだ…だから私は…!」カカベがコップ男の顔を心配げに覗き込み、コップ男の冷たい顔(コップの表面)に手を添えて「コップ上司…?」コップ男は「っ…!わっ…私はすこし今は調子が悪いんですよカカベ君、いやはや、そろそろ仕事の用事があるので…」と口角を上げてニコッとして、 椅子から立ち上がった。モバンはキョトンと目を見開き、コップ男を見つめていた、ハートは腕を組み、ジッと真顔でコップ男を黙って見つめ、首にある自分の鍵穴を触っていた。わたしは、コップ男の目の下につく黒いクマが刻まれているのを見て思わず「コップさん」と呼び止めた、コップ男はビクッとして顔を背けたまま「……なんでしょうか」わたしはバーテンダーに「バーテンダーさん、コップ割ってごめんなさい…でも、でも…コップさんと、もちろんカカベさんも休ませていい?」と聞くとバーテンダーは平然とした真顔でコクコク頷いて、寝室は広いとでも言うかのように手と手を広げるジェスチャーをした。コップ男は「えぇ?!」と驚き、汗をハンカチで フキフキ拭い、手を上げ、ブンブンと横に振った。カカベは喜んで「いいじゃないですかコップ上司っ!今日休日だし、他の人が空の階段集めてる日だし」コップ男は「とんでもない、いやはや誰かがしてるからとは言え私の責任は消える訳ではないでしょう?わ、私は上司で…」「他の人が『コップ上司そろそろ休んでください』って心配して作ってくれた休みなのに?」「…」「私、心配してるんですよ?」カカベはコップ男の顔に顔を近づけると、コップ男は顔を目を見開き、目を逸らし、コホンと咳払いして赤らめ、離れて「分かりましたよ!カカベ、分かりましたから……」と言い眉間を押さえて深呼吸し、地面を見つめた。モバンは「このガラス破片はどうするんだ」と低く真顔で呟いた。
齧る鉛筆
2026/2/4 13:38
10話「枕に沈む」モバンは「私は廊下に立って見張りをする」と言いバーテンダーが案内した細長い黒木材の廊下にある寝室の扉前で腕を組み突っ立っていた。ハートは寝室の扉から顔を出し目を見開いて「ちょっ、おまっ、どんだけ門番するつもりだっ!」と言いモバンの肩をツンツン突付いて「たまには休めよ」と真剣に言った。わたしは扉近くにいるハートの隣に立って、モバンとハートがそんな会話している所を見上げて、後ろを振り返ると寝室にいるバーテンダーがベッドの隣で立ってコップ男に口パクで心配そうに話しかけていたが、口パクなので理解できず聞いてるふりして「は、はあ…なるほど」と頷くコップ男と、横広く柔らかいモフモフの白ベッドに座って黒木材の壁を目を細め撫でているカカベがいた。バーテンダーはコップ男に話し終えたあと、メモ帳をどこからか取り出し、黒のボールペンで何か書き、ビリッと紙をちぎって、かがんでわたしに差し出した。わたしは紙に書いてある綺麗で小さな字(わたしが読めるようにひらがなで書かれてる)をゆっくり読み上げた「ふろはねしつのとなりにある…すきなようはいって、ねていい。ただしずかにしてね、えいぎょうちゅうだから」わたしが読み上げてバーテンダーを見上げると、バーテンダーは皆に向かって唇に人差し指を押し付けシーッとした。じゃ私はこれで…というかのよう手を振ってハートの隣をすり抜け、寝室から出ていって廊下の扉を開け、出ていきパタリと閉めた。向こうからは先ほどのブドウの匂いと、お客様の雑談やブドウジュースをいれるトクトクと音が聞こえてくる。静かな廊下、静かになったわたし達、沈黙を破ったのはコップ男だった「じゃあ、すみませんが私お先に風呂を…」カカベが「じゃあ私も〜」と純粋に笑顔で言ったらコップ男は「却下」「え?」「却下です」「なんで?」「却下したのですから」「でも」「却下は却下です」と真顔で言いスーツの上着を脱いでベッドに置き、寝室の扉を通り抜け(モバンを見上げビクッとしてペコリと頭を下げ、隣の扉を開けるカチャと音が)ハートは「オレも!」と言い上の黒セーターだけ脱ぎ捨て走って風呂の個室に入っていった、コップ男の「きゃあ!?」という女性的な悲鳴と数々の物が倒れる音が聞こえてきた、わたしがあわてて廊下に出ていくとバーテンダーが廊下の扉を開け顔を出し、こっちを真顔で見た、モバンとわたし(カカベは寝室で壁を夢中に愛でてる)はバーテンダーに目を向けるとバーテンダーはまたシーッとジェスチャーをして、バタンと扉を閉めた。 、、、しばらくして、ハートが上半身裸のまま(細くてひょろんとしてる体型)ベッドに大の字になってダイブした。わたしはハートさんの隣に行ってコソコソと「さっきの音でバーテンダーさんが怒ってたから、すこし静かにしよう」ハートはベッドに顔を埋めたままコクコクと頷いた、風呂上がりでのぼせたのか湯気が天井にのぼっている、わたしは追加で心配して「風邪ひいちゃうよ」と言い床に寝転ぶ黒セーターを持ってハートの背中にかけた。すると後ろから申し訳なさそうに「失礼極まりなく…お恥ずかしい事ですが…私の上着をベッドに置き忘れてしまって…」わたしが走ってベッドにかかってるコップ男を上着持って渡そうと振り返ると…コップ男がカッターシャツとズボンを着て立っていた。コップから垂れる水が首筋に垂れていて、筋肉が王の字に別れ、胸筋が…薄いカッターシャツから透けて見える。わたしは口を一にしてカチンッと固まって頭が真っ白になった。コップ男は「ありがとうございます」とペコリと頭を下げ、笑顔で上着を受け取り上着を着てボタンを閉め透けた筋肉が見えなくなった。それを見てもモバンは動揺せず真顔で黙ったまま風呂に静かにはいっていった。カカベはスーツを着終えたコップ男に目をやって輝かしい笑顔で「コップ上司、この壁からブドウの匂いがする、ブドウの木なのかな?それとも匂いをつけてるのかな?ついちゃったのかな?」コップ上司は苦笑いしながらも近づき「どれどれ」とベッドの隣から壁を見つめた。ハートは聞こえないくらい小さな声で「負けた…筋肉…」と弱々しく言った。 、、、モバンは上がって、服を着て緑マントを首に巻きつける、濡れて下に垂れる緑髪を器用に手(葉っぱ)でくぐってポニーテールにした、メイクされていた赤いほっぺの色が薄くなっていた。カカベがまだ壁に夢中になっているのでコップ男が「そろそろ…」と声をかけ、カカベが面倒くさそうに風呂へ入っていこうとした、が…コップ男がなにかを察したのか「あがったらすぐ服を着て下さいね、忘れないで下さいね」と耳元でコソコソ囁いて、カカベは返事するようにウィンクした(失敗したのか両目つぶってるけど)それまでわたしはベッドの上でハートとモバンでおしゃべりをしたをモバンはベッドに寝転ばず床に立つ(下半身なくて足ない、浮いてる)わたしは「ハートさんって頭のハート、重くない?」ハートは「え?まあ、重いと思い…思えば重くなる…待って〝おもい〟だけに!?」ポニーテールのモバンは「言っている発言がまず理解不能だ。重いと思うだけでは軽さや重さは変わらない、変わったら理屈が通じなくなる、そんな事はまず、ありえない」と断言した。わたしはエヘヘと笑みで顔がフニャッとなって「わたしはハートさんが言う冗談すきだよ」ハートは目をそらしニヤニヤしてベッドシーツに指で丸を書き、足を組みながら「お、おう…だろ!?オレやっぱ冗談言うの上手いよな〜」と落ち着かない様子で言った。チラリとわたしはコップ男を見ると、コップ男は向こうのベッド端に腰を掛け、足を組み(片方貧乏揺すりしてる)腕を組み、下を向いていた。するとボフッ!ハートと同じように大の字になって、スーツをちゃんと着て、髪は濡れているカカベがベッドにダイブして顔を埋めていた。コップ男はフッと笑って「全く…」と言いカカベの頭をナデナデした、すると手をピタリと止めて唇を噛み、手をゆっくり離した。 、、、 大きな白ベッドの上に乗っかる巨大なモフモフで柔らかい紫の枕(ちょうど皆がギリギリベッドで寝れる大きさ)を整えたりして寝る準備をするわたし達、コップ男は自分のメガネを取ってハンカチ(花柄、名前がちゃんと書いてる清潔なハンカチ)でレンズを拭いて胸ポケットにメガネをそっといれた。モバンは皆ベッドに腰を掛けているのに、固まってベッドの目の前に立っていた。わたしは「モバンさん!わたしの隣で寝る?」と自分の隣に空いてるベッドの端をポンポンと手で叩いた(モバンさんのサイズ的に、ここ寝れそうだし、大丈夫かな?)モバンは「ぅ…」と声を漏らし顔を引きつらせたが、ハートが「オレの隣来る?オレの隣だったら子守唄歌ってやるぜ?」と誇らしげに言うがモバンは無言でわたしの隣に腰をかけた(ハートは「子守唄歌ってやろうと思ったのに、大声で」とボソボソと呟いた、カカベは「大声だったら子守唄じゃないですよ」と言いクスッと笑った、コップ男がカカベに話しかけられたハートを黒い瞳でジッと凝視していた) カチッ、コップ男が電気を代わりに消して「おやすみなさい、いい夢を」と言ってベッドにはいった(紫の広い布団もかかってあるよ、隣にあるクローゼットから出したよ) 真っ暗になった電気、高い天井、皆の沈黙。 「、、、」 「、、、、、」 「、、、、、、、」 ハートはモバンの方に横向いてコソコソ言った「寝た?」「…」ハートは寝たと思って、ゴソゴソして今度はコップ男の方を横向き「寝ました?」コップ男は目を細め(メガネをかけていない)低く「……緊張で、まだ」ハートは小声で「ピラリィ〜?寝た?」「ん…まだだよ」「カカベさーん寝た?」「天井の質感と彩度を眺めてます」「なるほど…」ハートは確認し終えたら「一人ずつ自己紹介するのはどう?楽しそう…じゃね?まだオレ眠くないし、寝るまで話そうぜ」カカベは「いいですね、楽しそう」ハートは「じゃあモバンから」モバンはしばらく黙っていたが、諦めたかのようにため息をついて「私?私は、先ほど言ったよう門番をしている、モバンだ。以上」ハートは「好きなことは?嫌いなことは?」と小声で一言。モバンは「好き、というより得意なことは、人間観察だ。人が今思っていることを観察するのが前からの癖で、それが得意になっていった」コップ男は「私も似たように、空気を観察するのが得意ですよ、同じですね」わたしも同じだったので「わたしも」ハートはモバンの方を横向いて「じゃあ今、オレは何思ってるでしょうか」モバンはジッ…とハートの顔を見つめ「何も考えていない」「正解」わたしとコップ男は声を合わせて「正解なんだ…」と呟いた。モバンは「嫌いなことはルールを破ること。ルールを破ったら…駄目だからだ」ハートはそれには深く問わずに「つぎ、ピラリいける?」と聞いた。わたしは眠たげに言った「わたしは…ピラリ、好きなことは皆を笑顔にさせたり安心させること、嫌いなことは…皆が悲しむこと」コップ男は優しく「ピラリちゃんはえらいね…」ハートは「うん、えらい」カカベもモバンも「素敵だなぁ」「…偉い」と呟く、ハートは「無理はするなよ?」と一言、ハートは続けた「次オレ、オレはハート、好きなことは寝ること、嫌いなことは寝ること、得意なのは寝ること!」モバンは「じゃあなぜ今寝ないんだ」ハートは「寝ることは嫌いだから」「…??」コップ男は眠たげに「つぎ…私ですね…コップ、コップです…好きなことは…カカベ君を見つめること」カカベは「えっ」と驚いたようにつぶやく、コップ男は寝ぼけたように話した「嫌いなことは…カカベ君を怒ったり傷つけてしまったりすること…でも…怒らないと危ない目にあってしまう…だから、私が…守り抜かねばならない…」「コップ上司?!」「カカベ…好きだ…」「え!?」カカベは小声ではなくなり、上半身を起こしてビックリした目見開いた、口も開いてふさがらない顔でコップ男を見つめる、コップ男は「…」寝てしまった。ハートは「ふふっ」と笑い「モバン?モバン?聞いた?いまの、これが愛ってやつか…」モバンは「静かにしろっ、くっ、くう…空気を読めっ」と言い始めて恋愛的な話を聞いてしまい戸惑っていた。、、、、皆が眠りについた静かな空間、わたしは一人、ウトウトしてドッとした疲れが押し寄せてきて、ゆっくり重たい瞼を閉じた。 「あれ」目を覚ますと、わたしは鍵穴の街の、誰も通らない道の真ん中にいた「だ…誰かいませんか?」不安げにわたしが頭の星を暗くさせ、震えた声を出した、でも誰かの息の音も瞬きの音も雑談も返答も聞こえない、わたしが立ち上がろうとすると、バリンッ!足を見ると、わたしの両足が砕けてなくなっていた、わたしは涙を流し怖くなって固まっていると、後ろから声がした「あのボスがやったんだ。皆の心を消したんだ」どこか聞き覚えのある声…顔を少しづつ後ろを向かせ、見上げると「えっ」黒い瞳を持つ〝わたし〟がいた「名前をもらったからって、それだけで喜んじゃって…だからダメなんだよ」わたしが後ずさりしようと、手を後ろについて体を引きずる、それは無意味というように、一歩一歩と近づいてくる〝わたし〟はわたしに指をさして言った「へんなの」 …はっ!わたしが上半身を起こし周りを見渡す、スヤスヤ眠るカカベ、うつぶせで寝るコップ男(頭の中の赤いペンキがこぼれそう)枕を蹴り上げて爆睡するハート、わたしは、胸が苦しくて、さっきの悪夢に出た「へんなの」という心に残る言葉と、ボスが皆の心を…いつか分からないけど、今消しちゃうかもしれない…ここの皆、起きたらいなくなっちゃうのかもしれない…怖くなって涙目で、静かにヒック…ヒックと声を殺して泣いた、涙をぬぐってもぬぐってもまたポロポロ溢れて止まらない、震えた声で小さくわたしは呟いた「こわい…」すると「ピラリ?」モバンの低い声がした、先ほどまでキチッとした仰向けで、ガチッと眉間に皺を寄せ目をつぶっていたモバンは上半身を起こし、わたしを見つめた「怖い夢を見たのか?」わたしは思わず、ママのように優しい声を出したモバンの胸に抱きついた、モバンはビクッとし、目を開かせ身を固まらせたが、わたしが「ヒック…ひっ、ぁ…皆…皆いなくなっちゃうのかもしれない…こわい…どうすればいい?これからわたし、ヒック…ど、どうすればいいの…ぅ…うう…」と目をつぶってモバンの胸に顔を埋めて泣いたらモバンは黙ってわたしの背中を手(葉っぱ)でぎこちなく撫でた。モバンは低く「そうか、そうか…怖かったんだな、大丈夫、私は門番、皆がいなくならないようちゃんと見てるから、安心しろ、門番の役目だからな」と言ってくれて、わたしが落ち着くまで、背中をさすってくれた。わたしは暖かい包み込んでくれるようなモバンの胸に垂れる緑マントに顔を埋め、ねむく…なって…そ…のまま……
齧る鉛筆
2026/2/4 13:41
11話「あくび」わたしの耳に遠くから雑談の声が聞こえる、重たい瞼をゆっくり開けると、かすかにブドウの匂いがする黒木材の天井と目があった。わたしが上半身を起こして、ふぁ〜とあくびをすると「目覚めたか」低い声が、声のする方に目をやると、緑髪を下ろした、首から緑マントの垂れるモバンがいた。モバンは腕を組み、キッ!と眉間に皺を寄せて睨むようにこっちを見て「ピラリ、異常はないか?」わたしは大丈夫か?と言いたいのかな、と思いニコッと笑って「モバンさん、大丈夫だよ」と言ったら、モバンは唇を噛んで目をそらし、小声で「そうか」わたしは「でも」と呟き、まっすぐモバンの方を見て言った「ここの住民さん達に、ボスのこと聞いて回りたい」モバンはキョトンとしたような目見開いた顔で「…なぜ?」わたしはなぜと聞かれ理由が言えず「えっと…えと…えっと…」と言って下を向いていたら、バァン!!と閉まっていた寝室の扉を突き破る勢いで開けて、ハートが顔を出し「おはよう世界!おはようオレ!!」ハートはわたしを見て目を細めププッ…と笑いをこらえながら「ピ…ピラリ、寝癖すげぇなぁ!芸術作品だよ!うん、いいね、いいと思うよ、かわいい」と言うので、 わたしはビックリして自分の頭を触った。たしかに芸術作品…?ハートは「コップさんとカカベさん、帰っちゃうってよ」わたしはそれを聞き、あわててバーテンダーさんがいるところに行った。バーテンダーとカウンター、コップ男とカカベはカウンター前のパイプ椅子に座っていた。カカベは照れくさいようにモジモジしていて、コップ男もどこかぎこちない様子だった。コップ男は立ち上がり、メガネを外し、眉間を押さえて、黙って下を向いていた。カカベはわたしたちニコッと笑顔で「あ!泊まらせてくれてありがとうございます!ピラリちゃん、また私と会ったら、 いい壁教えてね!」と言い、わたしにハイタッチを求めてきた、わたしは「うん……またね、また会おうね」と呟き、わたしより大きく、白くて細長い、あったかいカカベの手がわたしの小さな手を合わせた。カカベは笑顔でバーテンダーにもタッチ(バーテンダーはパチッとウィンク)カカベはハートの手にポンッとグータッチ、モバンには震えながらも、そ〜っ…と指先でカカベタッチ、皆にハイタッチして満足したカカベはコップ男の肩にポンポン、するとコップ男はカカベの手にビクッとして離れようとしたが、カカベの不安げな輝く瞳をジッと見つめて、ため息をはぁ…とつき、手のひらを顔にかざして、手を下に下ろした瞬間、顔が爽やかな笑顔に変わった「皆さん、休ませてくださりありがとうございます、少し腰の痛みがマシになりました。さっきの罰は…まあ。とにかく!少しの間でしたが、ピラリちゃん達にといて楽しかったです………ええ、ええ…本当に」コップ男はわたしに近づき、かがんで、わたしの手を優しく握り、目を見て「ピラリちゃん、きっとあなたは優しい心をお持ちですよね、ですが…それを、いつか、自分に使えるようにしましょう」と言い、コップ男は立ち上がり、ゆっくり離れる。コップ男はカカベの肩をポンポンと軽く叩き返し「そろそろ行きますよ、Мs.カカベ」そのままブドウジュース屋の扉を開け、カランカラン…カカベはパッと顔を明るくして「あっ!待ってくださいコップ上司!」と言い、扉からふたりは出て行った。 カランカラン… あ、行っちゃったなぁ…。 わたしは紙コップを潰れないように慎重に、自分の胸ポケットに入れた。そして顔を上げバーテンダーに「すみません」わたしは言った「ボスの情報を、住民達から聞きに行ってきます!ありがとうございました…!」バーテンダーはフッ…と笑い下を向いて、顔を上げ、わたしたちに優しい微笑みを返してくれた。
齧る鉛筆
2026/2/4 13:42
12話「輝く星と鍵穴の住民」モバンは外に出て、背筋をピンッと正し「ハート、何度も言うが、勝手にどこかへ行くな、分かったな?」ハートは「はいはい…」とだるげに低く言い、自分の首の真ん中にある鍵穴に爪を立てた。わたしはあたりを見渡した。道で雑談したり歩いたり走ったり賑やかな人通りの中に赤い見た目の2人を見つけた「あっ、モバンさん、ハートさん、あの人に聞いてみるのはどうかな?」わたしたちは近づいて、その2人に「あのっ」と声をかけた。2人ともスリム体型で、顔があり、身体や肌の全てが真っ赤、片方は左目に鍵穴がついており、不機嫌そうに目を細め眉間に皺をよせていた、両手に黒手袋をつけていた。もう片方は右目に鍵穴がついており、機嫌よさげにニコニコと口角を上げ、目を細めていた、両手に白手袋をつけていた。黒手袋の方は中性的な声で「たぶん、声かけても無意味だよ」白手袋も同じそっくりな声で「きっと意味はあるさ」モバンが目を細め2人を見下ろしていた。わたしは2人に「お名前は?」と聞くと、黒手袋は「こちらアカノ」白手袋は「こちらタニン」黒手袋と白手袋は同時に「アカノ」「タニン」と言い被せた。ハートは2人を見て丁寧に「オレらは〝ボス〟の情報を集めてんだ。どんなヤツなのか、何をしてるのか、アンタらは知らない?」黒手袋は「ボス?あ〜どうせボスはだらしない奴さ、グータラで、寝るのが好き、鍵穴の街なんか見向きもしてないよ」白手袋は「ボスはきっと賢いさ、誰を支配したら計画を進めれるか、鍵穴の住民達の一人一人を管理するよう監視してるのさ」わたしは「え、その計画って、まさか!」モバンは被せて低く「嘘を聞く余裕は私達には無い、真実を話せ」黒手袋は「こちらはたぶん、真実を話すよ」白手袋は「アカノは 嘘つきだ、黒手袋は嘘をつく証拠さ、こちらの白手袋が真実を言う」黒手袋は「嘘だ、タニンは嘘だ」と歯ぎしりをして白手袋を睨んだ。白手袋は「じゃあ勝負しよう!どちらが人の事実のドアを開けるか」黒手袋は「そうしよう」わたしたちはポカンとしていた。黒手袋は鼻を高くし、フンッ!と誇らしげに言い出した「ピラリは元から名前がある」わたしは何でわたしの名前を!?とビックリしたけど、間に入れなかった。白手袋はキッと黒手袋を睨み、顔を近づけ声を荒げた「ピラリは名がなかった、壁おじさんに名をつけてもらった、その名はピラリだ」黒手袋は「っち!」と舌打ち、「じゃあきっとモバンは絵を描くのが好きじゃない!」モバンはビクッと目を見開いた。白手袋はニヤッとして「モバンは幼い頃、絵を描くのが好きだった〝ぼくの心の門番さん〟という絵を親に見つかり、それを手で…」モバンは低く「やめろ」と呟いた。白手袋と黒手袋がビクッとしてお互いに抱きつき、モバンを怯えた目で見上げた、モバンは髪がジワジワ赤く染まりだし、わたしとハートはまずい!と思い、モバンの背中をトントンしたり、手(葉っぱ)を握った。白手袋は「ちがう!こいつが悪い」黒手袋も「ちがう!こいつが悪いんだ」2人はギスギス口喧嘩を初め、会話どころじゃなくなった。モバンは下を向いて、すぅ…はあ、と深呼吸し、色が戻って緑色になった。 ハートは落ち着いてきたモバンを真剣な顔で見つめ、唇に犬歯を立てた。黒手袋は落ち着いたモバンを見て、気にせず顔をしかめて続けた「それならハートは、一番強い心を持つ男だ!」ハートはピクリと固まった。白手袋は楽勝とでもいうようなドヤ顔で「きっと一番弱い心を持つ男さ」ハートは笑顔のまま、声を低くして「おい」白手袋はまだ続けようとしたのでハートが「おいつってんだろ」と声を荒げた。白手袋と黒手袋はビクッとして黙ってハートを見つめた。ハートは続けた「お前らさぁ、人の過去を弄んで勝負に遊び感覚で使ってさ、俺聞いてて不快なんだよ、ねえ、止めてくれる?」白手袋が苦笑いしたら「何が面白いの?俺面白いこと言った?」ハートは自分の鍵穴に爪を立て、掻きながら続けた「俺はいいよ、俺のこと言われるの。けどさ、俺の友達の悪口言わないでくれない?我慢できなくなるからさ、わかる?」モバンはハートの肩に手を置こうか迷っていて、わたしは、ハートさんが怖くて、思わず震えて泣きそうになってモバンに抱きついていた。それに気づいて目を見開きハッとしたハートはあわてて声明るく「っていうことはやめようねー!はい!オレの話おっしまーい!よし、次の人に聞きに行くぞぉ〜!」と明るい笑顔でわたしたちをアカノとタニンから遠ざけた、、、ハートは「次だれに聞こうかな〜、オレはあの図書館とか入って、中の店員に聞いたら情報出てきそうだと思うぜ」と言い、ヘラヘラと笑顔で言い、いつものノリでモバンを突こうとしたら、モバンが手首を掴んだ。ハートは「え、えっ、なに?モバン」と口角を上げたまま見上げると、モバンが眉間に皺を寄せながら言った「ハート」口を開けては言葉が出ず、口を閉じたり目を逸らしたりするモバンは、すぐにちゃんとハートと目を合わし「さっきは、ありがとう」と言った。わたしも「うん、そうだよ、きっと、わたしたちのために怒ってくれたんだよね?怖いって思っちゃったけど、本当にありがとう」ハートは「…は、はぁ…?」と震えた声で言って、ハッ…と笑い「ちげえよ、違う、全然違う、オレはクズだ、最低だ、怒ってしまった、我慢できないで…皆の前で!!オレは、オレは過去からずっと変わらないんだ!距離感の近い、気持ち悪い、愛されない、嫌われもの、パシられ、見下され、怖がられて!!オレはっ、オレは!」興奮して涙をポロポロと出すハートの背中を擦りながら、モバンは人影の少ない、人当たりの少ない店と店の隙間にある空間に移動させ、泣き止むまで、わたしとモバンは黙って背中をさすったり、わたしはハンカチをあげたり、モバンはしつこ過ぎない相槌を丁寧に時々打った。 13話「ドア屋さん」ドア屋さんにはいったわたしたちは、店員のいないカウンターと、広い部屋に綺麗に横へ並べられた数々のドアを一つ一つ眺めた、高い天井にぶら下がる葉っぱの絡まったライトから暖かみのあるオレンジの光がわたしのガラスの頭に反射で跳ね返り、ハートの背中に光が当たる。端から赤いリンゴが実る葉っぱだらけのドアと、青い空の模様がかかれたドア、ブドウの匂いのする黒い木材のドア、ドアノブが3個ついてる白いドア、さらにドアとドア…そして最後のどんぐりの匂いがする、少し黒ずんでる茶色のドアの前に、目頭と鼻がまだ赤いハートはよっこらせ…とかがみ、そのドアを眺めてぼんやり呟いた「店員さんはいま留守っぽいなぁ…」モバンは「ああ、そのようだ」と低く答えた。わたしは「うん」もう一人の男の声が「せやなぁ」ハートとモバン、わたしは一斉に振り返った、誰もいない…「こっちやこっち!」前を向くと、茶色のドアだった。「…はあ〜!?」ハートは口角がじょじょに上がってニヤニヤしながらモバンの肩を無言でつついた。モバンは目を見開かせ、すぐに目を細めて低く「壁が話せば、ドアも話す…驚く暇は与えないということか」顔のない縦長のドアは、丸い金属のドアノブ、の上にある小さな鍵穴から声を出した(同時にドアノブがカチャカチャ動く)「ワシはドトア、ここのドア屋やっとる店長や、まあ…ドアしかないやんけ〜言いたいの分かるけど、見てってピンときたら声かけてや」ドトアは止まらず「ちなみにワシの木材は何やと思う?……あ、ワシに気ぃ使ってんねんな?木だけに、ってか?クククッ…やるやんけほんまにぃ!」ハートは今のギャグに笑いを堪えるよう腹を抱えて震え、わたしはププッと笑ってしまった、モバンは真顔のままキョトンとしていた。ドトアは棒のような手をふらつかせ片方しかない細い木材の棒のような足でドトアは立ち上がり(わたしより背が低い)フラッとバランスをおっと、と崩し、倒れそうに…! するとドトアより少し背の大きい、髪も服も瞳もまつげも白い少年が、シャボン玉のようにフワリとドトアに近づき、ドトアを慣れた手つきで支えた。少年は「ししょー!またボクからどっか行ったと思えば…」ドトアは小さく「あちゃ…」と呟いた、少年は怒ったようにほっぺを膨らまし「なんでドアとドアに紛れて、お客さんをビックリさせるんですか、ビックリさせたら帰っちゃうじゃないですか!」と言い、ドトアを揺さぶった。ハートはニコニコと微笑ましそうに笑いながらも、あっと呟き「ちょっと聞きたいことあんだけど、いいかなドトアさん」ドトアは少年にゆっくりとカウンターの所に移動させてもらい、カウンターの後ろにある椅子に座って、カウンターの上に肘をつき、手を組んで「なんや?聞きたいことって」とカッコつけたように低く言った。わたしたちはカウンター前に立ち、ハートはドトアと少年に聞いた「オレら今〝ボス〟ってやつの情報を探してて、ボスのことで何か知ってる?」少年は腕を組み首を傾げ目をつぶり「う〜ん…むずかしい、ボクは知らないです。ししょーは?」ドトアはギシッと軋む音を出し、黙り込む。わたしはなにかあったと察して「…なにかあったの?」するとドアノブをカチャと回し、低く語りだした「ワシは、ダチがおった」少年は口をキュッと結んで変わった空気の冷たさにゴクッと喉を鳴らし黙る。ドトアは続けた「名前はミラー、ミラーとは鍵穴の街のブドウジュース屋でたまたま知り合った、世間知らずで、差別的な発言がちょいと多かったポジティブ思考の女性や、いつも大事そうに鏡を持ってた女性やった。毎回、ミラーは鏡から自分の舌に空いてる鍵穴を見て、顔をしかめて、口を閉じ、毎回おんなじ事を言っとった『気持ち悪い、こんな見た目普通じゃない』そしてミラーはいつもみたいな笑顔が減って、暗い顔になっていって、時々姿を消すようになった、ワシは何かあったんちゃうんか、と思って、いるタイミングで声かけたんや『大丈夫か?無理してないか?話せるなら、いくらでも相談乗るで』って、そしたら……満面の笑みで興奮気味に『最っ高!!ボスがアタシに、素敵な言葉を言ってくれたの!』ワシにとって不穏なその言葉に、怖くなって『ど、どうした、何を言うてんの』って、そしたら『〝覗き穴の街〟にアタシは住む、こんな街はアタシに合わない、もうここにいたくない、じゃあね』と言って、街から出てって…もうあれから姿は見てへんわ」ドトアは低く「それから、幸せが怖くなったねん、幸せに暮らせる今がいつか終わるんちゃうんか、またいなくなるんちゃうか…ってな」わたしは心のどこかで共感してしまった、わたしはピラリという名前を壁おじさんにもらって幸せ、でもまた…言われちゃうんじゃないかって思ってしまうことがあるから。少年は「覗き穴の街…?」とドトアに聞いた。ドトアは「すまへんな、そこんとこはワシも分からへんねん……周りに聞きまくっても、行ったことがない、知らないばかりやったからな」少年は「ししょう…」と呟き、困り眉になって、白い髪が所々膨らんで…パッパッとシャボン玉になって宙に浮かんだ(しゃ、シャボン玉だ!?)たくさんのシャボン玉を浮かせながら少年はギュッとドトアに抱きついた。ドトアはギシッと音を立てて、ハッハッハ…と笑いながら「心配あらへんよ、シャボン君、ワシは大丈夫やで」と言いシャボンの小さな手を木の手でポンポンと叩き、カウンター下にあるオレンジのコートを取って、身につけた。「ボスの情報集め、無理せず、頑張ってな。ワシはここでドア屋やっとるから、いつでもおいで」ハートは変な決めポーズをとり、真顔で低く「了解しましたぁ!激オケ丸っすよドトアさん」ドトアはキョトンとして「激オケ丸ってなんや?」シャボンも「激オケ丸とはなんでしょうか?」ハートは「ええ」と生返事をしキョロキョロと焦ったように目線を泳がせ「あ〜、すごいオーケーの丸という意味でございます」シャボンは「なるほど…?勉強になります」と言ってから、ニシシと笑ってドトアを見ながら「ドアに紛れて人を驚かせるどっかの誰かさんより、このハートの方の弟子になるほうがいいのかな〜?」ドトアは「は!?なんやてぇ!?」と言いシャボンの肩を掴み真剣に「…ほんまか?」シャボンはドトアをジーッと見つめ、その威圧に唇を震わせ、緩み、笑いを堪えれずに「あはは!ししょー冗談ですよ冗談!ずっとししょーのそばにいたいです」ドトアはホッとしたように「シャボン……!」と呟く、シャボンはドトアを見つめ「ししょー…!」その光景を見つめるハートは黙ってパチパチと拍手をした。
14話「鉛筆女性とメモ男性」
つづく
