色のない世界

僕は、感情がない。

朝が来ても、心が震えることはない。
太陽が昇っても、温かさを感じることはない。
雨が降っても、悲しみも喜びも生まれない。


世界は灰色に沈んでいる。
空も、街も、人々の笑顔も。
僕には色が見えない。
見えているのは、ただ淡々とした形だけだ。


誰かが泣くのを見ても、笑うのを見ても、
僕の中は変わらず、空っぽのまま。

でも、
夜の静けさの中で、
かすかな違和感を感じることがある。

何かが、欠けている。
色のない世界で、僕だけが気づいている。

僕は、まだ知らない――
その欠けた色が、何色なのかを。

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