スイーツㄘゃん
2025/8/26 23:32---
「……知ってたよ」
その言葉に、胸の奥が温かくなる。
けれど同時に、なぜか苦しさも増した。
「でも」君は窓の外を見ながら、静かに言葉を続ける。
「俺には、叶えなきゃいけない夢があるんだ。だから、恋とか、今は……ごめん」
夕陽が沈んでいく。
赤く染まった教室に、ふたりの影が長く伸びる。
頭ではわかっていた。
君がまっすぐで、努力家で、私なんかよりずっと遠くを見ている人だってこと。
それでも、心は追いつけなくて──どうしようもなく涙がにじむ。
「そっか……」
無理やり笑顔を作ると、胸の奥がギュッと締めつけられた。
“恋の病”は、不治の病。
やっぱり、治すことなんてできないんだ。
でも、それでもいい。
だって私は──たとえ叶わなくても、この想いに出会えたことが幸せだから。
──ねえ。
君を好きになったこと、きっと後悔なんてしないよ。
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