ゴッホの死後約11年、ゴーギャンは『肘掛け椅子のひまわり』という作品を描きました。
ゴッホとゴーギャンは、決して良い別れ方とは言えませんでしたね。ゴーギャンが唯一欲しがったゴッホの絵画は、『ひまわり』だったそうです。
向日葵はゴーギャンにとってゴッホを象徴するモチーフになっていたんじゃないかと思います。
かつてゴッホによって描かれた二つの椅子。
それに応えるかのようにゴーギャンもまた、椅子の絵を描いているんです。しかも、タヒチでは手に入らない向日葵の種をわざわざ仕入れてまで!なんだか心にくるものがありますよね。
ここからは私の想像ですが、この頃のゴーギャンは、やっとゴッホの気持ちに追いついたんじゃないかなと思います。もがき苦しみながら作品を作っていくどうしようもない気持ち。だからこそ昔のゴッホの姿、たくさん衝突したゴッホ自身を優しい目で見れたんじゃないかなって。
この絵はすごく優しいんです。友を労るように。
決して良い人物とは言えなかったゴーギャン、父親としてはもってのほかだったでしょう。
でもやっぱり私は好きだなぁと。
ゴッホもゴーギャンも、必死に生きていた人だったんだなって。
私には、『肘掛け椅子のひまわり』は、不器用なゴーギャンからゴッホへの、精一杯のありがとうにみえてしかたがないんです。