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「じゃあ、星さんと林さんは一緒に歩いてて、林さんだけ落ちた、と」

「はい、」

「嘘だろ?」

「え?」

星は驚いて下を向けていた顔を上げた。

「本当は君が後ろから押したんじゃないのか!?」

「違う!俺はそんなことしてない!!尊敬する人をこの手で殺すわけが無い!!」

「でも彼の背中には誰かに押されて落ちたような形跡があった!!」

「そんな、、、」
誰かに止まれと言われたから反射的に止まったら彼だけ落ちました。なんて言えるはずもなく、星は黙り込んでしまった。

押した?俺が??なんで?
俺が殺した?どうして?

「君、署まで来てもらおうか」

「お断りします!!!!」

星は警察の静止を振り切って逃げた。
目的も決めずにさまよって着いた先はあのいつもの神社。

自分の世界は変わってしまったけど、この神社だけは変わらなかった。

いつも欠かさずしていた作法もせずに星は神社の中に逃げ込んだ。

ありもしない罪を問われるくらいなら死んだ方がマシだと。


星が最後の階段を駆け上がった時、人影が見えた。

この神社で誰かにあったことがないのに、珍しく先客がいたものだ。

「綺麗、」
そう、それはとても美しい男の人だった。

髪は黒くて短く、スッとした目に細長い四角型の黒縁メガネ、服装は和服で黒と金の模様が良く似合う高身長痩せ型の男だった。

「ああ星、来ると思っていた」

男はまるで星がここに来ることが分かっていたような発言だった。

「なんで、俺の名前を、?なんでここに来ることがわかったん、ですか?ところであなたは誰なんですか?」

慕っていた上司が亡くなって、自分が犯人として疑われて、その上追われていたこともあって、初対面の男の人を質問攻めにしてしまった星。

「まあ少し落ち着け」

「すみません……」

男は「まあよい」と言うとひとりでに歩き出し、それに着いてこない星を不思議に思ったのか「おいで」と手招きした。

「俺は徠(らい)。まずは質問に答えようか、なぜ名前を知っているか、だったな」

「はい」

「星、お前は律儀なやつだな、自分で住所も名前も言っていたじゃないか。それも毎日」

「え」

「それにここの神社はお前にしか見えておらぬ、まぁ、お前に触れていれば見えてしまうらしいが、もう改造する必要は無いがな」

「も、もしかして、」

「どうせ、ケイサツという組織に疑われて追われてきたのだろう?」

「そこまで、分かるんですか神様って、」
星がそう言うと満足そうな笑みを浮かべて「星のことならなんでも」といった。

「なら、教えてくださいよ神様、なんで林さんも助けてくれなかったんですか、!!!」
星は涙を流しながら神様を怒鳴りつけた。
だが、


「なぜその男のことを気にする?」

「……え、?」

「なぜ俺がそいつを助けねばならない?」

神様は冷えきった声で

「何故17時以降、神社の中に入った異物を助けねばならない?」

冷えきった目が星を見た。

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