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「ママぁ、、パパは、?どこ??」

いくら周りを見渡しても、緑、木、草、それしかなく、父も母もいない。

「ひぐ、…グスッ」

空の両目からは寂しいと怖いが混ざった涙がボロボロとこぼれはじめた。



「おや、子供か、?何故ここに、」

すると突然空の目の前に現れたのは、白をベースとし、模様に金色を使ったなんとまぁ豪華な和服を来た男が現れた。

髪は水色で整った顔、瞳はピンクで片方が紫だった。

男は目をスッと細めると、空は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。

その様子を見た男の口が弧を描き、空の目線に合うようにしゃがんだ。



「小僧、ここに迷い込んでしまったのか、?」

「うん、、パパとママ、いないの、」

「そうか、迷子か」

「……うん、」



男は口に手を当て、しばらく考え込んでしまったが、







「なら、父親と母親が迎えに来るまでここで待つかい?お兄さんも一緒にいよう」

「ほんと、?」

「あぁ、ほんとだとも」



空はぱぁっと顔を輝かせ、"お兄さん"に抱きついた

「ふふ、よしよし………あぁ、やはり可愛いな、人の子は」

「えへへ、おにーしゃん、あったかい!」

「おや、そうかい?」



お兄さんと呼ばれたその男は空を落とさないように大事そうに抱え、どこかへ歩き出した。

「おにーしゃん、どこに行くの、?」

「……ここよりももっと楽しいところだよ」

「楽しいとこ!!たのしみっ!」

きゃっきゃと喜ぶ空を横目に

男はとてつもなく笑顔だった。

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「可愛い空」



「××の生まれ変わり」



「俺の嫁」



「逃がしてなるものか」



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「ところで、空」

「なぁに?」



大きな社に着いたあと、男は空を畳に座らせてどこかへ行った。

空は家の中を物色していたが、疲れて座ってしまった。

そこにお盆を持った男が戻ってきた。

「お菓子を用意したんだ、食べるかい?」

「おかし!すきっ!!食べる!!」

「ンンンンッッ、そうかぁ、好きかァ!よかった」



男は突然咳払いなんかしたが、何事も無かったかのように平然に戻った。

「モグモグ」

「うまいか?」

「うまいっ!!」

空はハムスターのように頬張り、「ほらお茶も飲みな」と男にお茶を飲まされていた。



「ん、ぅ、」

「どうした?眠いか?」

「ねむい、ような、眠くない、ような、、」

突然コックリコックリし始めた空を男は抱き上げ、別の部屋へ連れていった。

その部屋は大きめな敷布団が敷かれていて、空をそこに横たわらせると男は既に寝てしまった空のおでこへ口付けた。



「可愛い子、」



「ダメだろ、知らない人の"家"に入っちゃ」



「知らない人から貰った食べ物は食べちゃダメだって教わらなかったのか?」



「でももう遅いよ空」



「逃がさない、二度と離れたりするものか」

「俺の…………」



男は愛おしそうに空の頬を撫でると部屋を出ていった。

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神社の外ではたくさんのパトカーが止まっていた。

「息子が!息子がいなくなったんです!!」

「しかし、トイレの入口にはご両親お二方がいたんですよね?」

「……はい、」

神社にパトカーなど珍しい組み合わせ。

それを見るために野次馬が沢山集まっていた。



「神社で子供がいなくなったんだってよ」

「なにそれこわい、誘拐??」

「いーや、これはきっと神様が連れて帰ったんだろ」

「やだあなた、本当にそんなことがあるわけないでしょ」

「いやいや、神隠しは絶対実際あると思うんだよ俺は!!なんせ今目の前で起こってそうなんだから!!」



野次馬から出る声は「誘拐」だの「神隠し」だの、そのふたつしか出てこなかった。



どうやら警察もお手上げのようで、「捜索はしてみます」などとほざいている。



見つかるはずもない。

空のいる世界と親のいる世界。

空が茶菓子を口にしたその瞬間切り離されたのだから。

























"俺の"勝ち。



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神隠し

それは現実にあるのかないのか未だに解明はされていない。

人が神を信じるように、

様々な憶測が神隠しを作ったのかもしれません。



「7つまでは神の子」

これは有名な言葉。



7つを過ぎれば?

さぁ、どうでしょう。

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