〈　こんな荒れ果てた醜い世界を私は愛していた！嗚呼神よ、どうかお赦し下さいませ。わたくしめに天罰を＿＿！　〉

…なぁんてね。

神は死んだ。とっくのとうに。

そもそも、神という概念自体おかしいと思う。何故天使や悪魔、人間は存在しているのに神は古代にのみ姿を表しているのか？

〈　Ahh…クソッタレ。気味が悪いな、ええ？　〉

私は知らない場所を歩いた。そこは雨が降り注ぎ、全てが崩壊寸前の。

そこら中に天使の死体が転げ回っている。臓器と共に穴を貫いたものや、脳が露出しそこに蛆が這っているもの。

それは天使のものとは思えなかったよ。

悪魔もあと1000年も経てばこのように死んでしまうのだろう。それが酸いか甘いかは独自の倫理観によるけれども。

ummm、そうだな。人間界で有名な爆弾といえば、'原子爆弾'だったかね？

本当、その様子に似ている。黒い雨何て洒落た言い回しは到底出来ない程醜いが。

（あきた）

これ程までに燦々と輝いた太陽を私は見たことがなかった。死体を踏みにじりながら、空へ手を掲げる。空から堕ちる酸性雨に手の甲を貫かれた。いいや、手の甲だけでなく全身の至る箇所を。

けれど俺は生憎死ねないんだ、可哀想に。生きる苦しみを私以上に知っている者は決して歴史上に存在しないだろう。そして現状を太陽の中から見届けているアナタに歴史を改変するなと伝えるように咳き込んだ。

ぐちゃ。

まるでまだ、いきているみたい。

未だ美貌を保ったソレが居た。とっくのとうに命は絶たれているだろうにヘイローは淡い光を放ち続け、綺麗なストロベリー色をした瞳は輝きながら虚空を見詰めている。

その瞳に一目惚れした。私のネイルが上手いよう眼孔と皮膚の隙間に侵食していき、赤い糸を引く箇所をぶちっと切る。出来る限り涙袋や頬に血液が飛ばぬよう、ショックな取り方は控える。割れ物を扱うような手つきで眼球をくり抜く。どうやらオッドアイらしく、生き残った黒い霧のような色をした瞳もあった。だがそれは僕の興味を惹かず、ひたすらにストロベリー色の眼球に口付けを落とした。

〈　妾も直ぐ此の荒地を去るだろうよ。なら、アナタだけは忘れないようにね。　〉

水浅葱色の髪を開き分け、普段隠れていた紫の瞳を露出する。僕の瞳は何よりも醜かった。コントラストすら無ければ、生みの親とも全く違う色を宿している。

ぐちゅ、ぐちゅっ。軽い痛覚にほんのりと生理的な涙を伝わせる。アナタの扱いとは対照的に、グロテスクに自分の片目を抉り取る。血液は漏れる一方で、嫌なヘモグロビンの匂いが鼻奥を突く。涙袋にじんわりと赤色が伝ったまま、…目玉を漸く取れた。真っ赤に血濡れた指を衣服で拭き取り、ストロベリー色の眼球を俺の目に入れる。常人ではこなせない程難易度は高いが、私の体は普通じゃないのですぐに受け入れるであろう。

眼球を組み入れ、何とか器用に方向を操る。そのまま瞬きをすれば、まるで元々あったかのような瞳が完成した。

この体もこの服もこの髪も、全て死体を貪り手に入れた物だ。然し、瞳だけは何時までも元の儘。

あーちんこ

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間違えたまって間違えた努力の結晶消え去ったもうやだ

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このまま少し、眠ってみようか。

美貌のままに、毒のままに。

朽ちゆく棘の世に罵声を。

少し煩悩が過ぎたのかもしれないね。

天界の事はもう十分知れただろう。

なら、もう帰ってみてもいいか。…そんな思考は煩悩にまみれていた。

苦痛もゴミの様なトラウマも洗脳も

全て底が痴れている。

苦痛に悶えることなく、雨は降り止んだ。

かつての凡はこう云った。

『 このまま ．雨は止みませんか？ 』

かつての才はこう云った。

「止まないよ、ずっと。」

全て綺麗事で済ませる世界が醜かった。

心底憎たらしい程しあわせそうなカオをした死体を蹴った。

気に入らない。

〈　boring.　〉

雨上がりのぺトリコールと鉄の匂いが混ざり合い、お涙頂戴の馬鹿らしい物語が広げられる。

〈　これだけ世界は広いのに、何故こんなにも展開は狭いんだろうね。　〉

〈　諸君、世は滅ぶ。なら私がその証拠になってみせようとも　〉

壊れたボイスレコーダーに録音を残し、天界を去った。

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：12XXX/9/18/匿名

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