コメント(2)
包
2025/8/17 15:04
ある日の昼下がり。
2人は縁側に並んで腰掛け、夢主が義勇にぽつりと話しかけた。
「ねぇ、ぎゆゆ」
始め、義勇は何も反応しなかった。自分に話しかけてないと思っていたからだ。
「ぎゆゆ、ぎゆゆってば」
夢主が腕をぽんぽんと叩いたところで、義勇はやっと応答した。
「…ぎゆゆというとは、俺のことか」
「そうだよ!かわいいでしょ?ぎゆゆ。義勇さんってちょっと硬い響きだからさ、私だけのあだ名!」
ふわふわと嬉しそうに笑いながら、ぎゆゆ、ぎゆゆと自分でつけたあだ名を口ずさんでいた。
そんな夢主に、義勇は一瞬何も言わずに黙り込む。呆れたように深いため息を吐いて、視線を庭先に移した。
「…子供のような呼び方だ。」
「えーーっ!だめ?」
拗ねたように頬をぷくーっと膨らませて、顔を近づける夢主。甘ったるい声で、わざともう一度呼んだ。
「ぎゆゆ♡」
その甘い声に、義勇の喉が小さくこくりと鳴った。
けれど義勇はふいに夢主の方に向き直り、真剣な瞳で夢主を見据えてきた。
目と目が合う。義勇の深い海のような瞳に吸い込まれそうになる。
ずいっと、夢主の耳元に口を寄せた。
「……俺の名は、義勇だ。ちゃんと、俺の名を呼んでくれ」
思っていた以上に熱を帯びた低い声。
夢主は思わず息を飲み、胸が高鳴った。
「ふざけたようなあだ名より、お前の口から発せられる“義勇”が…聞きたい」
淡々とした口調だけど、どこか切ないような、照れたような。彼の頬がわずかに赤く染まる。
その照れ隠しの不器用さが、夢主の心にぐっと深く刺さった。
「……義勇」
夢主がそっと名前を呼ぶと、義勇は少し視線を逸らしながらも、静かに目を閉じた。
「ああ……その方がずっと良い。」
さらに距離が縮まり、夢主の体が義勇の大きな体にすっぽり包まれた。
2人の鼓動が混じり合い、木漏れ日が2人を照らしていた。
包
2025/8/17 15:04
オチ弱い……😭
