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これ以上はいけ好かない。

猛暑の日が続き、燦々と太陽の光が降り続く中必死に自転車を漕ぐ。
何を言おう、今日が終業式であり、また授業時間がとてつもなく短い日である故に生徒達は全力を持って自宅へと帰還し、娯楽に浸れるチャンスとなる訳だ。

かくいう私も、その内の一人である。
しかし、私は娯楽への道を期待する一人ではない。


「帰ってたの」
ガチャリと扉を閉めれば、嫌な匂いを纏う母の姿がそこにはあった。
溜息をつく暇も無く母はあれやこれやと用事を押し付け、それっきり豪勢な金属音は戸を潜り聞こえなくなってしまった。
異常な程に閉所の様に感じるこの部屋は、塵が散乱し捨てられていない塵袋が辺りに放られていた。
そのせいか臭いは最悪だ、鼻腔を燻るタバコの残滓、酸っぱい臭いを放ったあのベットシーツ、飲みかけと思われるビール缶が床に転がって、色を落としていたり。

例の番組に出れそうな程には汚部屋と云える我が家。

「……一体、誰が掃除をすると思って…」
まあ良いやと切り出して、部屋掃除を始める。


初めは塵袋を纏めて、出せるものは出す作業から始めたのは良いものの、キッチンのシンクに貯まった謎の白い液体(察しはつくが今は辞めておこう)にコンロの黒ずみは中々に手強い。
四角形のスポンジを取り出して、入念に重曹を落として擦る。そこまで綺麗に取れる訳では無かったものの、前よりかは綺麗だろうと納得する。
コンロの事はさておき、部屋に散らかる物品達をどうしようと考え始めた。

ビール缶、服、ベットシーツ、煙草。
空になった化粧品、適当に置いたであろう割れたお皿、etc.etc.……。

改めて、我が家の汚さを実感した所で、チャイム音が部屋に響き渡った。
こんな時に誰なんだ、と少々怒りを孕みながら物を退けて、玄関口へと飛び出す。
「あ、すまないな伊作。どうにも、新野先生が念を押すから…」
そこに立っていたのは、未だ制服を着て汗だくの留三郎だった。
どうにも先生方からの用事があったようで、こんなにも苦労して来ていた留三郎を、怒りのままに扉を開けて驚かせてしまった事に少々申し訳なさを感じた。
「あ、ああすまない。
用とは何の事?そのままじゃ暑いでしょ、はい…」

それを言いかける前に、気づけて良かった。
目の前の留三郎はすっかり、頭にクエスチョンマークを浮かべている。
「…何でもないよ
それより、用事って?」
用事を問くと、留三郎は苦虫を潰した顔をして再度話し始める。

お前の親御さん、…ああ父親だったか。その父親が、事件を起こしたと。








鳥肌がたった、否その瞬間目の前から色が抜け落ちて、はたまた暗闇に落とされた様な気がした。

鳥肌がたった、それは親に対する衝撃と失望、それから来る物だとは分からなかった。

父親とは随分と会う機会は無くなり、中学に上がった時点では父親は家から完全に消えた。
母親と、父親が仲の良い夫婦とは思えなく、また近所の人もそんな親と関わる事を嫌い、幾分学校で嫌な目にあったものだと、その瞬間に反芻した。

「事件を起こした」

留三郎はそう告げると、僕の体調を気にしながら、何かあればと声をかけて去っていった。

僕は、

立ち尽くした。
また巻き込まれるのか?また、僕は居場所を見失うのか?
疑問符が頭に立ち込めた、問いと過去の記憶が駆け巡りはたまた渦巻く。

コメント(2)

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コケコ

2025/3/29 23:29

用事を問くと、留三郎は苦虫を潰した顔をして再度話し始める。

お前の親御さん、…ああ父親だったか。その父親が、事件を起こしたと。








鳥肌がたった、否その瞬間目の前から色が抜け落ちて、はたまた暗闇に落とされた様な気がした。

鳥肌がたった、それは親に対する衝撃と失望、それから来る物だとは分からなかった。

父親とは随分と会う機会は無くなり、中学に上がった時点では父親は家から完全に消えた。
母親と、父親が仲の良い夫婦とは思えなく、また近所の人もそんな親と関わる事を嫌い、幾分学校で嫌な目にあったものだと、その瞬間に反芻した。

「事件を起こした」

留三郎はそう告げると、僕の体調を気にしながら、何かあればと声をかけて去っていった。

僕は、

立ち尽くした。
また巻き込まれるのか?また、僕は居場所を見失うのか?
疑問符が頭に立ち込めた、問いと過去の記憶が駆け巡りはたまた渦巻く。

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コケコ

2025/3/29 23:45

短いの作りたいなー

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