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🦈⃟⃝⃤蠱毒の蟲

2025/2/8 21:04

昔昔、まだファヴィエが生まれてからバラバラにされて7回目の話である

その時の世界は今覚えば今世に近かったと思う

ただもし、ひとつ違うとするならそれは

"神が俺しかいなかったということ"





「神は俺しかいない」

そう人間に伝えるのはこれで何度目か

人間はそれを信じてるし、俺も自分以外を見たことがない

人間に愛を与え、人間は俺を信仰する
信仰が一体何になるのか俺には分からなかったが、人間を扱うにはそれが一番容易かった


だが何百年と続いたその平穏も終わりを迎えた

外から別の神(自信でそう名乗っていた)が数柱やってきた
それらは友好的に来た訳ではなく、どちらかといえば侵略に近かった

奴らは人間たちと交流し、それはもう"楽しそう"だった

俺はそれを良しとはしたくなかった

自分に向けられてた信仰心、敬い、尊敬、崇める心それら全てが自分以外の、ましてや神なんぞに向けられるのが腹立たしかった

でも彼らは別の神から与えられた知識を使って様々な繁栄をしていった

それはまるで自分が無知で無能の神であると告げられているようでもあった


誰に腹を立てていたのか今となっては全く分からないが、我ながら阿呆であるとは思う

過去の俺は徐々に沸き上がる感情が黒くなってくるように感じた(もとより感情は薄かったのだが)

そしてその感情はまず外から来た神に向けられた

人間たちの知らないところで外の神は全て惨殺
死体は全て宇宙のそこら辺に捨ててやった
(なぜだか不思議と宇宙に捨てておけばどうにかなると思った)

そして人間にはどうしてやろうかと考えている時に多くの人間が自分の元を訪れた


今更ながら後悔ではある

その前からずっと来てくれている人間がいたのだ
その人間は外から神が来ようとも、周りの人間から外の話を聞かされても、必ず同じ時間に自分の元を訪れては帰っていく

俺を神として敬う(と言うよりかは友人のように話しかけてくる人間だった)人間とはかけ離れた人間ではあった


せめてその者の声だけは聞くべきだった

今更悔やんでも遅いのだがな


俺は周りの神を惨殺したのがバレたのだと思った
俺は人間たちが反乱しに来たのだと思った
俺は……俺は…………


またバラバラにされて埋められるのかと思った
また失敗したのだと

彼らの声を聞くよりも先に手をあげてしまった

彼らを…この手で……
彼らが俺にやったように


でも違った
彼らを殺した後に気づいた

彼らは外の神達と俺の話をしていたらしい
彼らは俺の事を外の脅威から守ってくれる神だと

28 リアクション

コメント(1)

🦈⃟⃝⃤蠱毒の蟲

2025/2/8 21:18

でも違ったんだ
彼らを殺した後に気づいた
それは彼らの繁栄したこの世を見た時だった


彼らは外の神達と俺の話をしていたらしい
彼らは俺の事を外の脅威から守ってくれる神だと

"だから日頃のお礼がしたい"
"でも神様って何を欲しがるのか分からない"
"何を渡せば喜んでくれるのか"


「繁栄は人類の営み、人類の人生そのものであり、それほど人間を、君たちを愛しているならば彼は君たちの成長をきっと喜ぶ」


そして何より、俺を友人として扱ったあの人間
あの人間は俺とずっと一緒にいたいと望んでいたらしい(日記が残っていた)


それをあの日伝える日だったと


あの日伝えられる予定だった愛の囁きは
あの日、何も聞こえなかった

俺が手をあげたとき、彼の者だけは悲鳴すらあげなかった





ただ、そうだな……
今思うならば、あの顔はきっと諦めた表情だったな












この世界はずっと残してある
あの惨状のまま
誰にも触れられない場所で、もう俺にしか知らない場所にしまってある


ここは彼らの場所
彼ら以外の人間も神も生命体も入ることを許さない


この記憶もこの感情たちも奥底に閉まっておくことにしよう
もう二度とこの惨状は起こしたくないから


ただ一つでも、こんな俺でも願えるならば


また次の世界で
俺を愛してくれた彼らに会えることを、願っている

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