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7つまでは神の子

だから、神社に子供を連れていく時はどうか、



お気をつけて



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「赤!でっかい!!」



小さな子供が赤い鳥居を指さして目を輝かせている。

「そうだねぇ、でっかいねぇ」

子の隣には母親のような女が子と手をつなぎながら神社へと入ってゆく。

その後ろにいた父親らしき男は

「空(そら)、神社ではな、真ん中は歩いちゃダメなんだぞ~」

そう、子へと話しかける。

子は振り返り「なんで?」と首を傾げる。



「真ん中はな、神様が通る道だからだ!」

えっへん!とでも言うかのようにドヤ顔で、母親は「ふふふ」と笑っている。



「神様!偉い人!!すごい!」

子は理解したそうで、鳥居を見た時の目の輝き以上に目をキラキラとさせた。

家族はたわいのない話をしながら歩いていたのだが、本殿への道のりは長く、道を歩き続けたせいで子はしんどそうだった。

すると突然子は親ふたりに問うた

「神様って会えるの?」

2人は顔を見合わせると、困った顔のようになり、「空がいい子にしていればそのうち会えるわ」と母が言った。



本殿に着いた時、子は疲れきって父親におんぶされていた。

親ふたりはお祈り、お祓いをすませ帰ろうとした時、

「んぅ、、」

「おや、起きちゃったかい?空」

「しゅじゅ、」

「鈴?」

「うん、鈴の音、した」



母親は「鈴の音なんかしたかしら、?」と考え始め

父親は「そんなわけないだろ~どんな夢見たんだ?」と、空の言うことを信じなかった。



空は父親の背から下りると「トイレ、行きたい」といい、父親にトイレに連れていかれた。



個室に1人空を置いて外で待っていた親ふたり。

だが、いつまで経っても空が出てこないので、何かあったんじゃないかと思いトイレの扉の前まで走っていった。

「空ー?どうした?具合が悪いのか、?」

「空?何かあった?大丈夫?」



扉越しに話しかけるが返答がない。

不審に思った父親が扉を開けようとした時、鍵がかかっていないことに気がついた。

父親は焦ったように扉を開けたが、そこに空の姿は無かった。



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「ん、?ここ、どこ、?」



空は心地いい風と鳥たちの声で目を覚ました。

見慣れない風景、先程までトイレにいたはずなのに。



「ママぁ、、パパは、?どこ??」

いくら周りを見渡しても、緑、木、草、それしかなく、父も母もいない。

「ひぐ、…グスッ」

空の両目からは寂しいと怖いが混ざった涙がボロボロとこぼれはじめた。



「おや、子供か、?何故ここに、」

すると突然空の目の前に現れたのは、白をベースとし、模様に金色を使ったなんとまぁ豪華な和服を来た男が現れた。

髪は水色で整った顔、瞳はピンクで片方が紫だった。

男は目をスッと細めると、空は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。

その様子を見た男の口が弧を描き、空の目線に合うようにしゃがんだ。



「小僧、ここに迷い込んでしまったのか、?」

「うん、、パパとママ、いないの、」

「そうか、迷子か」

「……うん、」



男は口に手を当て、しばらく考え込んでしまったが、







「なら、父親と母親が迎えに来るまでここで待つかい?お兄さんも一緒にいよう」

「ほんと、?」

「あぁ、ほんとだとも」



空はぱぁっと顔を輝かせ、"お兄さん"に抱きついた

「ふふ、よしよし………あぁ、やはり可愛いな、人の子は」

「えへへ、おにーしゃん、あったかい!」

「おや、そうかい?」



お兄さんと呼ばれたその男は空を落とさないように大事そうに抱え、どこかへ歩き出した。

「おにーしゃん、どこに行くの、?」

「……ここよりももっと楽しいところだよ」

「楽しいとこ!!たのしみっ!」

きゃっきゃと喜ぶ空を横目に

男はとてつもなく笑顔だった。

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「可愛い空」



「××の生まれ変わり」



「俺の嫁」



「逃がしてなるものか」



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「ところで、空」

「なぁに?」



大きな社に着いたあと、男は空を畳に座らせてどこかへ行った。

空は家の中を物色していたが、疲れて座ってしまった。

そこにお盆を持った男が戻ってきた。

「お菓子を用意したんだ、食べるかい?」

「おかし!すきっ!!食べる!!」

「ンンンンッッ、そうかぁ、好きかァ!よかった」



男は突然咳払いなんかしたが、何事も無かったかのように平然に戻った。

「モグモグ」

「うまいか?」

「うまいっ!!」

空はハムスターのように頬張り、「ほらお茶も飲みな」と男にお茶を飲まされていた。



「ん、ぅ、」

「どうした?眠いか?」

「ねむい、ような、眠くない、ような、、」

突然コックリコックリし始めた空を男は抱き上げ、別の部屋へ連れていった。

その部屋は大きめな敷布団が敷かれていて、空をそこに横たわらせると男は既に寝てしまった空のおでこへ口付けた。



「可愛い子、」



「ダメだろ、知らない人の"家"に入っちゃ」



「知らない人から貰った食べ物は食べちゃダメだって教わらなかったのか?」



「でももう遅いよ空」



「逃がさない、二度と離れたりするものか」

「俺の…………」



男は愛おしそうに空の頬を撫でると部屋を出ていった。

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神社の外ではたくさんのパトカーが止まっていた。

「息子が!息子がいなくなったんです!!」

「しかし、トイレの入口にはご両親お二方がいたんですよね?」

「……はい、」

神社にパトカーなど珍しい組み合わせ。

それを見るために野次馬が沢山集まっていた。



「神社で子供がいなくなったんだってよ」

「なにそれこわい、誘拐??」

「いーや、これはきっと神様が連れて帰ったんだろ」

「やだあなた、本当にそんなことがあるわけないでしょ」

「いやいや、神隠しは絶対実際あると思うんだよ俺は!!なんせ今目の前で起こってそうなんだから!!」



野次馬から出る声は「誘拐」だの「神隠し」だの、そのふたつしか出てこなかった。



どうやら警察もお手上げのようで、「捜索はしてみます」などとほざいている。



見つかるはずもない。

空のいる世界と親のいる世界。

空が茶菓子を口にしたその瞬間切り離されたのだから。

























"俺の"勝ち。



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神隠し

それは現実にあるのかないのか未だに解明はされていない。

人が神を信じるように、

様々な憶測が神隠しを作ったのかもしれません。



「7つまでは神の子」

これは有名な言葉。



7つを過ぎれば?

さぁ、どうでしょう。

5 リアクション

コメント(2)

喰害

2023/8/4 19:49

書きなぐりした小説

喰害

2023/8/4 19:49

微BL注意

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