男は突然咳払いなんかしたが、何事も無かったかのように平然に戻った。
「モグモグ」
「うまいか?」
「うまいっ!!」
空はハムスターのように頬張り、「ほらお茶も飲みな」と男にお茶を飲まされていた。
「ん、ぅ、」
「どうした?眠いか?」
「ねむい、ような、眠くない、ような、、」
突然コックリコックリし始めた空を男は抱き上げ、別の部屋へ連れていった。
その部屋は大きめな敷布団が敷かれていて、空をそこに横たわらせると男は既に寝てしまった空のおでこへ口付けた。
「可愛い子、」
「ダメだろ、知らない人の"家"に入っちゃ」
「知らない人から貰った食べ物は食べちゃダメだって教わらなかったのか?」
「でももう遅いよ空」
「逃がさない、二度と離れたりするものか」
「俺の…………」
男は愛おしそうに空の頬を撫でると部屋を出ていった。
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神社の外ではたくさんのパトカーが止まっていた。
「息子が!息子がいなくなったんです!!」
「しかし、トイレの入口にはご両親お二方がいたんですよね?」
「……はい、」
神社にパトカーなど珍しい組み合わせ。
それを見るために野次馬が沢山集まっていた。
「神社で子供がいなくなったんだってよ」
「なにそれこわい、誘拐??」
「いーや、これはきっと神様が連れて帰ったんだろ」
「やだあなた、本当にそんなことがあるわけないでしょ」
「いやいや、神隠しは絶対実際あると思うんだよ俺は!!なんせ今目の前で起こってそうなんだから!!」
野次馬から出る声は「誘拐」だの「神隠し」だの、そのふたつしか出てこなかった。
どうやら警察もお手上げのようで、「捜索はしてみます」などとほざいている。
見つかるはずもない。
空のいる世界と親のいる世界。
空が茶菓子を口にしたその瞬間切り離されたのだから。
"俺の"勝ち。
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神隠し
それは現実にあるのかないのか未だに解明はされていない。
人が神を信じるように、
様々な憶測が神隠しを作ったのかもしれません。
「7つまでは神の子」
これは有名な言葉。
7つを過ぎれば?
さぁ、どうでしょう。
コメント(1)
喰害
2023/8/4 20:00
感想ありがとぉぉ!!!!!!
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