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天上天下唯我独身

2025/10/22 23:42

「あっ…あのね!私さん…」
カナヲが嬉しそうな声で話しかける。
「は?話しかけないでくれないかな。今気分悪いの。」
相反するように冷たい声で答える。
瞬時に右手が上がり、カナヲの頬にぱちりと乾いた音と共に平手打ちが飛んだ。
カナヲはただ呆然と、叩かれた左頬の赤く腫れたところを抑えた指先が震える。
「え…?私…さん?」
理不尽な暴力は、怒涛の如く蘇る幼子の頃の、あの頃の記憶。私さんの冷たい指先は童磨との交戦を思い出すようで不愉快極まりなかった。
ふと目頭が熱くなり、目尻に水が溜まり、睫毛が濡れる寸前。カナヲは俯いて涙と悲哀と鈍痛の全てを必死に嚥下しようとした。
(泣いちゃダメ…泣いちゃ…)
肩がかすかに震えていたが歯は強く食いしばり、嗚咽を飲み込んだ。

😭
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