プリ🦐チー🧀氷🍧

2025/1/18 20:23

メルラーン‼️‼️‼️‼️‼️‼️うおわああ‼️‼️‼️

ぼくはね、昔っからこんなに歌が好きなわけでもなかったんだ。
好きになったのは、11歳の頃かな。









17××年オーストリアのウィーン郊外。
可愛らしい男の子が生まれた。名をメルラン・トエニといった。
ブロンドの髪に、ほとんど白に近い眼をしていた。

白い眼が治ることはなかった。

トエニ家には財産がなかった。今でいう先天性白内障も治すことができないほどに。


しかし、メルランが8歳の頃、トエニ家は財産を手に入れたのだった。




君たちは、聖歌隊というものをご存知かな？
教会で歌ったり、もしかしたら聖歌を歌ったことがある………
なんて人もいらっしゃるかもしれないね。




「嫌だよ母さん！なんでこんなことするの！？」
「うるさいわね。あなたが選んだことなの。あなたが私たちを幸せにしたいって…」
「そうだぞ。父さんたちは期待してるんだからな！」

「待ってよ…いやだぁぁあああああああ！！！！！！」



実はね、この時代。聖歌隊に入ることができるのは男の子だけだったんだ。

じゃあなんでぼくがこんな見た目をしてるかって？




「あら。おかえりなさい。」
「ゔぅ………いた゛いよかあさん………」
「そうかそうか…頑張ったな。」
「………！」
少年…ともいえないそれは苦しそうに笑った。
初めて父親に頭を撫でてもらった。
母さんが食べたこともない美味しくて温かいご飯を出してくれた。
パパって、ママって呼んで良くなった。
生まれてまもない頃、みんなで笑い合った時のようだった。

嬉しい事ばかりが続いていた3日間だった。本当に幸せだった。



「じゃあな。」


「へ？」

外に出された。その先にいたのは白い服を身に纏った老人たちだった。
「あなたがカストラートね。待ってたわ………」
「これで救われる、救われる………！」

「え？何…？怖いよ！入れてよ！！！パパ！！！ママ！！！！！！」

正直、意味わからないでしょ。ぼくだって知りたかったよ。
結果がこうなら…優しくしてくれなくてもよかったのに



かくしてメルランは教会へと送られた。
「君がカストラートかい？」
「え…っと…カストラート？ってなんですか…？」


ぼくが説明するよ。
さっきも言ったとおり、男の子だけじゃソプラノやアルトが足りなくなるでしょ？

だから睾丸を摘出するんだ。
そうすると第二次性徴が来なくなる。変声期が来なくなるんだ。

…気持ち悪いでしょ。



メルランは厳しい教育を受けた。
呼吸法から、様々な装飾技法。
走狗、連続トリル、メッサ・ディ・ヴォーチェ、
アジリタ・マルテッラータ、ゴルゲッジオ、
モルデント、アッポジャトゥーラ………。正直何が何だったかは覚えていない。

カストラートになるとね、高い音が出るのも当然に、
とてつもない肺活量を得るんだ。
天使の歌声ともいうんだっけか。ぼくヴァンパイアだけどね…



メルランはその最中友を得た。
イユダ・フリーデルといった。

歳も同じ、同時期に教会に入ったこともあって、2人は常に一緒にいた。

彼はどうやら自分から教会に入ったという。
金銭面の困りごともなく、両親との関係も良好。


そして、メルランと同様のカストラートだった。


だったはずなのに

考察か感想あったら嬉しいな………

イユダと出会って3年の時が過ぎた。

イユダの才能は凄まじい物だった。
女性貴族たちが魅入られて気絶してしまうほどにだった。

「イユダってば凄いよね。それに比べてぼくは………」
「何言ってるのメルラン…僕は音楽が好きだからね。
　君より上手くて当然じゃないか！なんちて……」

イユダは慰め上手だった。ぼくは何回も慰められたっけ…
人を喜ばせていて自分を傷つけず慰めることができるのだから。

「なにそれ！でも確かになぁ…」
「ふふふ。メルランも才能がきっと…絶対！あるから！！！」

教会の庭で毎日話していた。部屋は一緒だったけど、日当たりが悪かったから…




そんな日々を過ごして、とある日を迎えた。
11月6日。その日は今年初の雪が降っていた。







「好きだよ、メルラン」

「え？イユダ……？」



「…だから、好きなんだって。」

指を絡ませるイユダ。どんどんと壁に押し寄せられる。

「わかるでしょ。付き合おうよ、メルラン。」


なんで？

友達だったよね。恋愛は教会のルールで禁止されてるよね。

生殖機能なんてお互いにないよね。


本当に、
カストラートなんだよね？

「イユダ…？カストラートだよね？
　もし仮に結婚したとして子供なんてできないよね、、、？」



「何言ってるの？僕はカストラートなんかじゃないよ。
　
　教会なんてやめて2人で生きよう？」



「は…え？」


ぼくの過去を自分と照らし合わせて慰めてくれたイユダが。
「僕たち仲間だね」って言ってくれたイユダが。
音楽を好きって思わせてくれたイユダが。
3年間ずっと一緒にいたイユダが、カストラートじゃない？


怒りが込み上げてくる。裏切り者にしか見えなくなる。

急いで逃げた。逃げようとした。

でもイユダは早かった。すぐに追いつかれてしまった。
ずっと一緒にいたからわからなかったけれど、
ぼくとイユダには15cmほどの体格差があった。



でも、こんなまでして「いいよ」ってぼくはいえなくて。

そこにあった花瓶でイユダを全力で殴った。

でもまだ生きてた。だから割れた花瓶の破片を投げたり目を刺したりした。


「………もういいでしょ。諦めてよ」

「僕は諦めないよ。」

「うっさい！イユ…お前はもう死ぬってのに………！！！」

「死ぬか。そっかぁ、、、。」

「早く死んでよ。ぼくはお前を忘れたいの」



「ははは、それは無理な望みだね。
　僕は一生生き続けるよ。」

その10分後、イユダは息をやめた。


生臭い血の匂いと、イユダにされたこと、したこと。
怒りと何かが込み上げてくる。




さて、この現場をどうしようか。
イユダの死体はまだ綺麗だ。死体自体は…。

だけど、
ぼくの吐瀉物と生理的な涙…だと思いたいもので塗れてしまっている。

イユダの死体が残っていては死刑にされかねない。

明日は焼却炉の塵の回収日だし………


そうだ


誰にも見つからない場所があるじゃないか





…うーん、美味しくない。
口の中が変な感じする。これじゃまるでヴァンパイアじゃないか。


ん？待てよ…

イユダが行方不明になったとして、
疑われるのはぼくじゃないか？

そう思って、自分の部屋から目を閉じて走って逃げた。
実はあの花瓶、50ポンドぐらいするんだってね、怖…


次に、髪の毛を染めた。
ブロンドは金髪。黄色はキリスト教で裏切り者。
まるでアイツじゃないか…

少しでもアイツの痕跡を消すために、
それと花瓶割っちゃってごめんなさいってことで…
暗い紫色に染めた。結構似合ってる気がする、、、。

あと名前…名のある音楽家ってファミリーネームで呼ばれがち。

もし指名手配があったらメルラン・トエニのままだから、
これからはイユダのフリーデルを奪うことにした。


これでぼくが人殺しになったってこと、誰も知らないと思う。



あ、これからぼくはオペラ歌手として舞台に立つことにする。
そうすればパトロンの人にお金をもらって生きたい放題ってね…

あともうちっと、、、。
テスト始まるまでに終わらせたいナ………

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