コメント(6)
ame_こあ01
2025/3/7 00:13
緊張して空回るグラスの音は、痛い程冷たかった。
時は23時。辺りが闇に包まれる頃、独りの感覚がヒリヒリ伝わってくる頃。そこにある大窓からは満ちる事も欠ける事もしない満月がぽつり。あーあ、彼奴も独りぼっちか。帽子の唾が光を綺麗に集めてくれたので、証明は眩しくなかった。いつかの商人に言われたあの言葉を酒に流してしまう為、ここに来たのに誰も居なけりゃ意味が無い。バーの看板が痛い程目に映るので、瞳孔が狹む。一度、幼い頃に考えたことがある愚かな考えは今でも懸命に思い出せるのに、行動に移そうとは思えないくらいに小心者。地下6フィートが手を伸ばしてこちらを羨ましそうに見ているのだけは覚えていたよ。だらしなく開いた口から絞り出た言葉は「おえ。」だなんて恥ずかしくて言えない。酒の匂いが鼻を刺した頃、酒の甘さが脳を回った頃にはグラスが空になっていた。今日はあまり飲もうだなんて思っていなかったので無意識の恐ろしさに規律を守っていた呼吸が列からひとりずつ離れていく。氷が少しづつ溶けるのが目に写って砕けた。もしも自分もこんな風に気楽になれたら、何度願うだろう。もし今夜が終わる頃、自分が地から足を離していたようだったら、最後は幸せな走馬灯でいっぱいだろう。それをもし盲目だと笑う奴がいようと、反論は出来ないのだけれど。船の上だなんて非現実的な状況、船に酔うことも無くぼやけていて、このまま日常までもがぼやけてしまえば。幻想が曖昧なまま消えてしまえますように。生きたいだなんて汚い願いが、叶いますように。現実と夢の区別がつかないくらいに幸せであれますように。このふたつの願いが、交わって弾け飛んでしまいませんように。あ、そうだ、我儘だから願いが叶わないんじゃない。無欲だから叶わないのだ。そもそもどんな願いでも小さければ意味は無い。小さい願いは塵へと変わる。そんな結末、俺には案外お似合いかもしれない。だとすれば俺の肩書きは一体何になってくれるだろう。無欲であれば無欲である程、人間は人間から離れてゆく。ただ独りの人間とさえ認識されてしまわないのだから。新しく注いだソレを一気に呷った。もしも生まれ変われるならば輪廻転生をぶち壊してそのまま永遠と添い寝していたい。緑色に染まったキャンバスを新しく酒に染めて。上塗りすればするほど黒くなっていくそのキャンバスはまさに俺の心そのものだった。あーあ、結局人間は誰かを真似しないと、誰かを模倣しないと壊れてしまうのだ。緑色に戻ることはもうない黒色のキャンバス、一体それは誰の心?他ならぬ自分だったけど。人の上に立つのはとても難しい。酒を注ぐ手でさえ震える程ひ弱な人間だ、当たり前だろう。前の頂点を思い出す間もないくらい忙しくて、ただ揺れるだけでいい船がとても嬉しかった。手が凍る23時がまるで語りかけているように。彼奴らに俺の背中はどう映っていたのだろう。情けない足取りについて行ったのだろう。ずっと昔の理想と現実の嫌な程鮮明で明らかで、うるさい乖離。
黙れ、黙れ、黙れ。アスパルテームがうるさい。アルコールが執拗い。エンジンの冷たい匂いが維持らしい。機械の感情が気持ち悪い。縫い付けられた口の悲鳴が痛い。
酒の優しさが彼を刺す25時。外には薄らと霧のようなものが見えなくもない。まぁ気の所為だろうが。もしも霧が全てを包み込んでくれるならば、俺はそこで暖かい体温を手放したい。声を上げて誰も知らないまま泣いていたい。うるさく悲鳴をあげる椅子の足、もう帰ってしまおうと立ち上がると倒れ込んでしまった。それを正しく並べる気力なんてなくぼんやりと見詰めるだけ。まぁるい椅子だったもので、そこらをくるくると踊って回る。いい加減目障りなので、仕方なく引き摺ってやった。元に戻すのも気が引ける、帰れと言われている様だったので。アーハイハイ、帰ります帰りますよ。どうせ俺がお前らを目障りなように、お前らも俺が目障りなんでしょ。薄ら知っていましたよ。それじゃあ言葉の矢は引っこ抜いて、おやすみなさい。
ame_こあ01
2025/3/7 00:13
壁突破しちゃうのは癖
ame_こあ01
2025/3/7 00:13
ame_こあ01
2025/3/7 00:13
ame_こあ01
2025/3/7 10:40
ちなみにこれあれ
ame_こあ01
2025/3/7 10:40
オプのやつ
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