-無題-
目が覚めると、花畑に居た。
私から見ても唐突な出来事だ。いや、実は意外とそうでも無いのかもしれない。名前だけは覚えている。ノア。これは私の名前だ。そのはず。この場所はどこか見覚えがあって、尚且つ行ったことのある場所だ。だけど__名前だけ、思い出せない。奥の看板に目を向けてみた。字は掠れている。相当の年月が経っていたんだと思う。とりあえず体を起こしてみた。頭が重い。1歩進むだけでも一苦労だ。…唐突すぎて今まで全く気にしていなかったが…私は何故か探検家のような服を着ている。頭には双眼鏡、バッグの中身は財布と…スマホ…?
コメント(4)
凪雨
2025/12/12 23:52
財布を何回も見返してみる。…やっぱりこれは私の財布だ。スマホの電源をつけてみる。…ホーム画面は写真…そして充電は40%…。
何となく感じたものがあった。私多分この世界に拉致られてるわこれ。
何かはあると信じてとにかく進んだ。進み続けた。…声。この世界で声は出るのだろうか。マイクテストをしているつもりで声を発した。
「あ、あー…私の名前はノアです…」
何をしているのだろう。自分でもちょっと意味が分からない。流石に呆れてきた。
まぁでも…世間一般的に見れば声を発することができない世界を渡り歩いていたと捉える人も居るのだろうか…?まぁそんなことは一切していないのだけれど。…尚更呆れてきた。
そんなことをしていると目の前には建物があった。ドアの前にOPENの看板…木造建築でメニュー表には珈琲やらトーストやら…カフェなのだろうか?
凪雨
2025/12/12 23:55
ドアノブをひねってみた。
扉を開けた先の景色は馴染みのあるものだった。ほろ苦い珈琲豆の香り。木特有のザラザラした壁の質感。歩く時に鳴るコツコツという足音。こうしているとオノマトペの種類は沢山あるんだなとつくづく思う。…私の精神年齢って小学生ぐらいなのかな
まぁでも、当たり前は幸せともよく言うし…いやでも少し違う気が
厨房にはマスターの姿があった。オーバーオールの上にリボンのかわいい服装…そしてエプロンをつけない独特のスタイル…いや、この世界に無かっただけかもしれないけど…!
…無くても糸とかミシンあれば作れるか。じゃあこれは独特のスタイルと読んでいいものなのか…考えてると頭がおかしくなってくる…やっぱりありとあらゆるものの定義を決めるのは大事だけど難しいよね。
凪雨
2025/12/13 00:29
語彙力すごいだとぉ…!?!?
嬉しすぎる…皆の方が凄いわよ…🫶🫶🫶
凪雨
2025/12/13 17:29
とりあえずここで暇潰しをするふりをして過ごしといた方が良いのかも?私には店に入って即退店とか絶対できないからなぁ…それに、意思疎通が取れそうなお方が今目の前にいるし…ここは、ちょっと休憩させて貰おうかな…!!
カウンター席…なんか、緊張しかない。だって今このカフェにマスターと私の2人しかいないんだよ!?2人きりなんだよ!?こんなの緊張するに決まってんじゃん!?人と関わるのが苦手な人、所謂コミュ障さんにはとてもじゃないけど耐えられない空間すぎる…
何頼もう…オーソドックスなものだとパンケーキとか?いやでもコーヒーとかも頼んどいた方が良さそうな…
…迷う。全部美味しそうすぎて。
とりあえずパンケーキを頼もうっと…これ、もしかしてマスター呼ばなきゃいけない感じ…?いやまぁ当たり前なんだろうけど、なんか躊躇っちゃうわぁ…
頑張ってみる…うん、頑張ってみよう。これができなかったら私はタヒぬと思って…!!!
「あ、あの」
「パンケーキ一つ…ください」
良かった!!言えた!!多分私史上一番の快挙だこれ!!嬉しすぎる!!
「かしこまりました、少々お待ちください」
…っていうかマスターよく見たら結構イケメンなお方…顔が良い…いやそう考えたら私って顔で判断する騙されやすい人ってこと…!?…そろそろ私も、考え方を変えなきゃな。顔以外のところ…人の性格とかも認められるようにならないと…。まぁそれはいいとしてこの方、人間じゃないのか…
そして奥に鏡が…あれ…!?…私、私って人間じゃなかったの…???この鏡で見るととても人間のようには見えないけど…でもここに来る前は人間だった…はず…あれぇ…
なんか輪郭丸いし頭には双眼鏡もある…おかしい、絶対におかしい。それにマスターも私と同じような姿…どういうこと?
