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よるねこ@おえびじゅ

2026/3/6 17:32


放課後。
いつもの帰り道。
林の前で、足が止まった。
風が吹く。
その先に――
見覚えのある、ふわりとした二股のしっぽが揺れていた。
「……は?」
一歩。
また一歩。
近づくほど、胸の奥が冷えていく。
そして。
「…………透羽?」
世界の音が、消えた。
それからの光輝は、別人だった。
教室で机を蹴り飛ばし、
廊下で怒鳴り、
テストの答案は白紙のまま。
「お前らぁ!!」
教室が静まり返る。
「人の心っちゅうもんはあるのかよ!?」
震えていたのは、声だけじゃない。
拳も、肩も、全部。
ある日、いじめていた生徒たちが頭を下げた。
「……私たちのせいで、天宮くんが……」
「……本当に、ごめんなさい」
光輝の目が、ゆっくり見開かれる。
「あぁ?」
低い声。
「言葉だけで許されるわけねぇだろうが」
叫んだあと、顔を背けた。
誰にも見えない角度で、
ぽたり、と雫が落ちた。
数日後。
光輝は、花屋の前に立っていた。
「……こいつ、透羽好きだったよな」
淡い色の花束を一つ。
ぎこちなく抱える。
空は、やけに青かった。
マンションの屋上で、風が吹く。
光輝は空を見上げて、小さく笑った。
「なぁ、透羽」
胸が痛い。
でも、足は止まらない。
「ずっと友達って、約束したよな」
一歩、前へ。
「……今、行く」
風が強く吹いた。
――そして。
世界が、静かに途切れた。

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