Latteアプリで見る Latteアプリのダウンロード

メッセージを入力…

アプリからのみです

送る

どうせ誰も入らないだろうから好き勝手できるぜぃ

▷久遠日向
今日は疲れた
ただでさえ疲れているのに監視までされているとはどうゆうことだ、などと思ってしまう
そもそもの街中が監視される事態に陥ったのは
マイナンバーカードが原因だろう
マイナンバーカードを利用して不正な個人情報の取得をしている奴らが出始めたのだ
最初は、スーパー、銀行と、監視の幅が広がってゆき今では町中監視社会だ
そんな事を思いながら暗い夜道を歩いていると
路地裏から一人の男が現れた
「こんばんは、東燈矢(あずまとうや)さん」
唐突に現れた黒尽くめで長身の男にビビるが、ビビってしまったのはそれだけではない
片手に何か分からない器具を持っていたのだ
黒く重く光っている
「わたくしはですね、東橙矢さんに質問をしたいんです、」
『質問』
思わずオウム返しになってしまう
「西条幸太郎のことについてです、どこに居ますか?」
西条幸太郎、西条先輩の事だ、質問の意図が分からない
「どこに居る?自宅に帰ったんじゃないですか?」
『それが居ないんですよ、逃げられました、』
逃げる、今朝西条先輩が言っていた事だ
不意に嫌な予感が脳裏を過ぎり西条先輩に電話をかけた
プルルルル、プルルルル、プルルッ
『西条先輩、今どこですか!?』
『あぁ、東か、俺としたことがな捕まっちまった』
「捕まった?」
『彼らにな、ほら今朝話しただろ?』
西条先輩がそういった途端電話越しから銃声のような音が聞こえた
「西条先輩!?」
少し間を置いて西条先輩が声を出した
『づぁー…いってぇ』
「西条先輩どうしたんですか!?」
状況が理解出来ない
『ははっ多分な俺が彼らっつたのが気に食わなかったんだろ、性別が分かっちゃうからな、…別にいいじゃねぇか性別なんて二分の一だろ』
最後に言った言葉は彼らに向けてだろう
「さいじょ…」
西条先輩と話そうとした時、黒尽くめの男からスマホを取り上げられた
『もしもし?西条幸太郎ですね』
「ぁ゙ぁ?誰だ、テメェ」
『今、どこに居ますか?』
「………、さぁな俺には見当がつかない場所とでも言っておこうか、……強いて言うなら、東っていう男にでも聞け、アイツは謎解きが得意だからな」
西条先輩と黒ずくめの男の会話が電話のスピーカー越しに聞こえる
と、会話を聞いていると電話越しから救急車の音が聞こえてきた
(救急車…?)
心の中でそう呟く
ふと、顔を上げると黒ずくめの男がこちらを凝視していた
どうやら、電話が終わったようだ
「東橙矢さん、最後の質問です、西条幸太郎はどこに居ますか?」
『だから、知らないんだって』
「そうですか、では、見納めですよ」
何故か僕の小指をつまんでそう言った
「あなたの小指がここにあるのが見納めですよ」
「え、」
と言ったのも束の間、黒尽くめの男は僕の小指にはめ込んだ
なにを?
黒く重く光っていたあの器具を
重く光っている刃が剥き出しになっている
それを認識したとたんとてつもない恐怖が襲ってきた
手を振り払おうとしたが、器具にカッチリとはめられてた指は動かなかった
『これはですね、本来こうゆう使い方をする物ではないんですよ、カボチャを切る道具です』
「カボチャ」
唐突に出てきた現実逃避のような言葉に思わず反復してしまう
『これはカボチャも切れますから、あなたの指なんてポトリでしょうね』
「嘘だろ」
『信じてないんですか?梃子の原理ですよ、ちょっと力を入れればいいんです、意外に痛みはないんですよ』
そう語る男の指は両手合計5本ほどがなかった
『ただ、指を失うってのは不便ですよ、指を失うか、西条幸太郎の居場所を教えるか、天秤にかけると西条幸太郎の事を教えたほうがマシです』
「なんなんだ、なんなんだ、なんなんだ、どうして西条先輩を探してるんだ、どうして僕が巻き込まれなきゃいけないんだ」
足が震えて、力が入らない
『………、行方不明者が出たら探しますよね、それと同じです』
男が器具に手を触れる、 その動作はさながらカボチャを切るようだ
器具をグイッと下に下げればあまりに簡単に指が切れる、その仕組みにゾッとした
『では、いきますよ』
男が抑揚もなく言う
僕の待ってくれと言う声は一人の少年の声によって遮断された
『どうせやるなら、目隠ししてやりゃあいいのに』
顔を上げると僕が強盗として入った家で出会ったあの少年が居た

▷会社
思えば僕の人生ろくなことが無かっただから、強盗になんて手を出したんだ。
結局の所、見ず知らずの少年に脅されることになった訳だが……。
ー…い、、ー…せい、東(あずま)先輩!
僕はビクッとして立ち上がる
さながら、寝ているところを起こされた児童のようだ
『あっははは、なにそんなビビってんすかぁ
そんなんじゃますますビビリだって思われるっすよ〙
コイツはいつもそうだ、タプタプしたあごを揺らしながら言う、一言多いんだ。
「うるせぇ、元宮(もとみや)タバコ休憩行くぞ」
喫煙所に行くと西条(さいじょう)さんがタバコをふかしながら片手に新聞紙を持って熱心に読んでいた
「西条さん、お疲れ様です」
『おつでーす』
元宮は先輩、後輩関係なくこんな挨拶をする
「元宮、」
と、たしなめるが反省はしていない
「ははっいいんだよ、俺もソッチのほうが気楽だ」
西条先輩は器の広い人だ、それと同時に少し変なところに熱中する節がある
僕達システムエンジニアは休みが少ない、それ故、西条先輩は休みを強制的に作ろうと何日も徹夜でウイルスを作っていた
「東、これは凄いぞ、なんてったってあのクソ上司のパソコンをウイルスにかけられるんだからな」
と、笑顔で言っているところ、元宮が
『西条さん、熱々のコーヒーぶっかけた方が早いっすよ』
なんて悪びれもなく言うものだから結局そのウイルスは使われることはなかった
それはそうと、
「西条先輩、何そんな熱心に新聞読んでるんですか?」
『ん?あぁ、無差別殺人事件の事だよ』
不意に昨夜の事を思い出し心臓が鳴った
強盗の事はバレてはいないだろうか…
『ここ数日、俺なりに考えてみたんだが、殺されてる奴らには共通点があったんだ』
と、語る西条先輩の目の下にはクマができていた
『それはな、政府の人間だ』
「政府?」
唐突に出てきた大きい話題にびっくりしつつも質問をする
『あぁ、もっと言うと3年前の一家殺人事件に関わった政府の人間だ、これに気づいた時、俺はとんでもねぇもんに手を出しちまったと思ったよ』
「ー…?」
『次は俺だと思った、だからな逃げるんだ、今日一日ずっとその事を考えていた』
逃げる?今言った事となんの関わりもない西条先輩が逃げるのはおかしく感じた。

誰もが学生の頃避難訓練を受けたと思う。
災害の予兆が来る前に逃げましょうというやつだ。
だが、知らない家に強盗として入ったら頭を殴られ椅子に縛り付けられナイフで殺すぞと言われている予兆はいつ予想出来るだろうか。
「まっまってくれ、君はこの家の住人かい?」
自分よりも年下のひょろっとしていてこの令和には物珍しい下駄を履いた少年に尋ねる。
『いやぁちがうね残念ハズレだ』
もしこれが恋愛映画なら正義のヒーローが助けてくれるのだろうか?
そして、キス…なんてことを妄想している隙ではない
今は助かる方法を見つけなければ。
「僕は強盗なんだ、君の目的はなんだい?」
『…殺しが合法になる時を知ってるか?それは戦争だ、戦争では悪い奴が無惨に殺される』
「それが?」
『つまりだな、今この状況であんたを殺しても合法になるってことだ』
……話が通じない、
「僕は、…」
ガチャ
玄関扉の方から家族の和気あいあいとした声が聞こえてくる。
まずい、非常にまずい、この家の家族が帰ってきた
「と、とにかく今は逃げないか?君も見つかったら大変だろう?」
『…………………そうだな、ひとまず撤収だ』
僕らが侵入してきた窓から逃げる証拠一つ残さないように。
走って、走って、走って逃げたはいいものの、何故少年まで僕についてくるのだろうか。
「…君の目的はなんだい?」
「さっきから質問ばっかだな、」
自分よりも年下の少年に言われ少しムカついた
「質問ばっかにもなるさ、急にぼくを縛ったと思えばナイフで脅して来るんだから」
『ふむ…それもそうか』
少年はなにやら納得したようだ。
それにしてもこの少年の目的は何なのだろう。