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蜜柑🍊

2025/10/8 22:45

"一夜だけ"、リアンとは其の約束で身体を許したのに永遠に囲われた椿の話。

「__ですから、私は貴方と恋仲になれないと再三お伝えした筈です。」
椿は困惑を含んだ声でリアンから毎日のように繰り返される求婚を跳ね除けると、反応を逐一観察するような目を向けるリアンから目を逸らした。
二人は共に上流階級の出で、椿の家は文献にあるだけでも平安時代から続く名家の娘だ。リアンの家は椿の家程の歴史は無いが、数百年前の戦で大手柄を立てその功績と戦略家としての手腕を認められて広域な土地を治める領主となった。その家の長男であり跡取りのリアンは、成人するや否や古くからの学友である椿に猛烈な求婚を繰り返しては丁重に断られ続けている。
「何があろうとも、私が椿を愛するのは不変であり必然だ。何故それが解らない。何故頑なに求婚を断る。」
居心地が悪くなり去ろうとする椿の前に回りこみ、リアンは獲物を見定めた肉食獣のような目を椿から一切逸らす事無く尋ねる。
「そう言う貴方は、子供だったあの日々を忘れてしまったんですか?貴方に異性としての魅力が無いなんて事はありませんが、突然そんな事言われたって、恋愛対象として見れません。」
椿は憂いを含んだ声色で、しかし強い意志を持った声色でリアンを突き放した。

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コメント(3)

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蜜柑🍊

2025/10/8 22:52

「私を恋愛対象としては見れないが、性的な魅力はあると?」
「...まあ、そういう風にも捉えられますね。」
リアンが聞くと、椿はあっさり認め、椿の意外な一面を見たリアンは嬉しさから少し口角を上げる。
「ならそれでも良い。椿の一夜を、私にくれないだろうか。そしたら求婚はこれきりでやめにする。」
大胆な提案に驚きつつも、これからずっと付き纏わられるよりは充分マシだろうと椿は二つ返事で了承してしまった。

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蜜柑🍊

2025/10/9 22:41

翌朝、椿は痛む腰と喉を我慢しながら帰る旨を記した置き手紙を残して人目に付かぬよう帰り、リアンは一夜の幸福の残穢と冷たい隣のシーツが酷く惨めな差を感じ、それまで我慢していた全てが崩れる。
その日の夕方、一人で散歩をしていた椿に話しかけ、案の定嫌そうな顔をされたがとある写真を見せると同時に青ざめる。顔しか写っていないが明らかに昨夜の行為での物を見てどうか内密にして欲しいと伝えるがリアンの冷たい表情は変わらない。半ば泣きそうになっていると徐に口を開き
「...まあ、照神家のご令嬢が恋仲でもない男と婚前交渉した証拠がばら撒かれるのは不味いだろうな。一体どれだけの騒ぎになる事やら、明日からのニュースが実に楽しみだ。」
と心底楽しそうに微笑んだ。それに続いて
「婚前交渉が世間に知れ渡れば多少の問題になるだろうが、そのまま結ばれるのとそうでないのとでは天と地ほどの差があるだろうな。ましてや夫が愛しい妻のこんな写真を流出させるなんて有り得ない。椿はどう思う?」
実質的に選択肢を奪った上で尋ねられ、椿は絶望しながら震える声で言葉を絞り出す。
「...お受けします。」
「何だと?」
「結婚の話、お受けします。ですから...」
今度は張った声でそう言われ、リアンは満足気に笑って胸ポケットに写真を仕舞うと椿の左手を取り優しく握るとサイズもぴったりな指輪を薬指に填められ、
「すぐにでも式を挙げたい所だが、まずは両家へ挨拶だな。当然、婚前交渉の話は私達だけの秘密だ。」
と嬉しそうに先の話を始める。まるで恫喝なんて無かったかのような態度に、椿は逃げられない事を悟り、リアンが語る未来計画に黙って合わせるしか出来ない。
「前に日当たりの良い静かな山奥が落ち着くと言っていたな。良い場所を知ってるから新居はシュヴァルツ家の土地に新しく建てよう。椿は子供が好きだっただろう?いや、跡継ぎの事はまだ先で良いだろうが新居の設計に関わるし確認したくてな。」
「その...随分会話の内容を覚えてらっしゃるのですね...。」
「好い人の会話を忘れる莫迦が何処にいるんだ?あゝ、もう暗くなってきたな。家まで送るからその時言おう。」
帰り着くと出迎えた使用人がリアンを見た瞬間にお客様だと騒ぎ立て、屋敷の主人で照神家当主、椿の父親である康治を呼び対面。
「リアン殿、娘を送って来てくれたのか。少し遅くて心配してたんだ。感謝する。」
「いえそんな、私は妻を送っただけですよ。」
「は?妻、とな?愛娘の椿が?」
「そう言いました。」
頭を抱える椿、笑みを崩さないリアン、更に騒ぐ使用人、中々に混沌な状況が続いたものの淡々としたリアンの説明である程度まとまり後日の両家顔合わせの約束を取り付けた。

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蜜柑🍊

2025/10/9 22:52

数日後、両家顔合わせが終わり正式に婚約が決まったので椿はリアンの家に移動することになった。リアンは緊張している椿に
「結婚してからが永いのだからがっつかないし、そう強ばるな。約束通り求婚も婚前交渉はあれきりだ。」
と言うと椿を抱き締めて本当に手も出さずに眠りにつく。
式が終わってからも求婚してきた頃とは別人のように余裕ある態度と包容力で椿の希望を聞き入れ甘やかすばかりで居心地が良く、気付けば二kg体重が増えていたし三人の子供までいる羽目になっていた不思議。

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