卍🔆
自分には才能も努力も出来ない(そんな事は無い)と思っているにて。自己肯定感は常に奈落の底。弟たちにも申し訳なくて、毎日大量の仕事があるのにまだ暗い内から家事も熟して全員分の弁当を用意する。過労で倒れる度に無理するなと叱られるけど、にてはそれをこんな事で倒れるなと言われているように歪んでしまっている。
そんな時に告白されて付き合ったなちにて。なちは本気でにてが好きなのに、にてはずっと騙しているような気分で、なちの時間をにてに使わせてしまった事で逢瀬の度に罪悪感。
ある日のなち家で本人の目の前なのに目眩がして座り込んでしまう。理由は毎度の如く過労。なちに釣り合う完璧な恋人を演じる度になちに心配されても殆ど休むことなく尽くしていたからだった。
心配するなちに謝って無理に立ち上がろうとするにて。付き合ってすぐ、様々な事を事前に弟たちから聞かされていたなちは遂に我慢が出来なくなった。
「すまないがもう耐えられない。」やっと別れ話が来た。これで別れられる。矢張りなちに自分なんて不釣り合いだったんだと喜ぶにて。
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蜜柑🍊
2025/8/28 15:49
しかし期待とは裏腹に、なちはにてを姫抱きして二階の寝室へ向かった。きちんと整頓された無機質なベッドになちらしいなと思うにて。なはにてをベッドに寝かせて起き上がろうとするにてを押さえ付け、苦しくない程度に布団でぐるぐる巻きして逃げられないように前から用意していたロープで更に固定。「え、なん...あのっ...」と口を挟む暇が無いにてを無視して一階に降りて行き数分後ココアを持って戻ってきたなち。「少々乱暴だったな。」と謝ってロープを解き、布団を緩ませてココアを持たせる。頭の中は『?』だらけのにて。
蜜柑🍊
2025/8/28 16:05
「何だ。ココアは嫌いだったか?」と尋ねるなちに首を横に振ると、「じゃあ飲め。」と急かされて一口飲むと、優しい甘さが広がって指先が震える程寒かったのがじんわりと温まっていき、自分でも分からない涙が出てきた。「...私が欲しいのは、いつだって完璧な配偶者じゃないんだ。それなら最新の家電や家政婦や執事なんかを置く方が簡単だろう。」なちが話しながらにての涙を優しく拭いていく。「私はにてが欲しいんだ。無理なんてしていない、そのままで居て欲しいんだ。それとも私には見せる価値が無いのか?」悲しそうな顔をして聞いてくるから良かれと思っていたのに予想外過ぎて「違っ、違いますっ...!そんな風に思わせてしまったなんて、ごめんなさいっ...!」って泣き出す。
蜜柑🍊
2025/8/28 17:40
泣きじゃくるにてを見てなちは大きな溜息。素を見せろと言われても、見せれば嫌われるのではとびくびくするにて。なちの為に早く別れたいのに好きだから別れたくない矛盾を抱えて情けなくなって余計に泣く。余りにも泣くので言い過ぎたかなと居心地悪いなちがにてを見ると、血が出るんじゃないかってぐらい強く擦り始めて焦ってしまい、「にて!!手を止めろ!!」と怒鳴ってしまう。肩をびくっと震わせて固まった後、「ごめ、なさい...っ」と謝りながら泣き続けるにて。こんなになるまで放置してしまっていた事を後悔しながらココアをベッド横の棚に置いて抱き締めた。頭と背中をよしよしと撫でながら「大丈夫だ。辛いのなら好きなだけ泣け。我儘言っても良い。もう怒鳴らないから、もっとにて自身を大切にしてくれ。」と言い聞かせる。そこで初めて抑えるような泣き方じゃなくて「ゔぁ゙ッ...!」って嗚咽を漏らしながら大声で泣き出すからなちもホッとしてにてが泣き疲れて眠るまでよしよししてる。にては翌日の昼まで寝てて、起きてからこんな時間まで寝てしまったなんてと凹むけど自分を貶した瞬間なちに訂正されるようになって、最初は遠慮がちだったけど徐々にやりたい事や嫌な事を伝えられるようになる。
