にてが御國様と呼ばれていた時代、口調や態度に威厳を求められて忠実に再現してきた。
でも家族や幼子の前だとふとした時にどうしても顔が緩んでしまう。
ある時、珍しくにての公務が一般公開されると、警備員や警官が厳しく取り締まってたんだけど、一瞬の隙を突いて幼子がにての足元まで駆け寄ってきた。
親と警備員達は引き留めようと焦ったんだけどにては険しい表情から一変して聖母のような笑みを浮かべ、「おや、お嬢さん。君みたいな可愛い子は親御さんの近くに居ないといけないよ。」とその子を慣れた手つきで抱き上げて親元まで送り届けた。一連を目撃した一般人はどよめき新聞でも話題になったけど、警護をすり抜けたのが危険人物だった場合、にてはかなり危なかったのではと批判され警備体制は強化した。
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