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よるねこ@おえびじゅ

2026/3/7 10:29

天界の朝は、いつも静かだ。
雲の屋根の家の窓から、やわらかい光が差し込んでいた。
キッチンでは、トゥイスがフライパンを振っている。
「うーん、いい匂い」
今日の朝ごはんは、天界特製のビターココアパンケーキ。
天界では少し苦めの味が人気らしい。
トゥイスはその匂いを吸い込んで、嬉しそうにしっぽを揺らした。
「ウォル君起きてー」
リビングのソファには、黒い翼をぐしゃっと広げたまま寝ているウォルド。
「……あと五分」
「もう十分言ってるよ」
「じゃああと五分」
「それ二回目」
ウォルドはむにゃむにゃ言いながら体を起こした。
寝癖だらけの髪のまま、キッチンをのぞく。
「今日の飯なに」
トゥイスは満面の笑みで皿を出した。
「パンケーキ!」
ウォルドの顔が少し明るくなる。
「お、いいじゃん」
しかし次の瞬間。
一口食べたウォルドは固まった。
「……」
「どう?」
「……苦ぇ」
トゥイスは目をぱちぱちさせた。
「え?これ?」
「めっちゃ苦い」
「えぇ!?甘いじゃん!」
ウォルドはフォークを置いた。
「お前の舌どうなってんだよ」
トゥイスはもう一口食べる。
「うーん…ちょっとビターで美味しい」
「ビターじゃねぇ、毒だろ」
「大げさだなぁ」
ウォルドは腕を組む。
「俺はもっと甘いのがいい」
「赤ちゃん舌?」
「違ぇ!!」
トゥイスはくすくす笑った。
「じゃあこれ食べてみて」
トゥイスは小瓶を取り出した。
中には黒いシロップが入っている。
「なにそれ」
「天界ブラックカカオ100%シロップ」
「絶対苦いやつじゃねぇか」
トゥイスはパンケーキにたっぷりかける。
そして幸せそうに一口。
「おいしい」
ウォルドはドン引きした。
「味覚壊れてんだろ」
「ウォル君も食べる?」
「食べねぇ」
「一口だけ」
「やだ」
「お願い」
「……」
トゥイスはじっと見つめる。
ハートの瞳で。
ウォルドは視線をそらした。
「……一口だけだからな」
フォークで小さく切って口に入れる。
三秒後。
「にっっっっっっが!!!」
ウォルドはシンクに走った。
「水!!水!!」
トゥイスはお腹を抱えて笑う。
「そんな!?」
「舌が死ぬ!!」
ウォルドはコップの水を一気に飲んだ。
「なんでこんなもん食えるんだよ!」
トゥイスはにこにこしている。
「ウォル君が甘いの好きだから、ボクは苦いの担当だね」
「担当ってなんだよ」
「バランスいいでしょ?」
ウォルドはため息をつく。
「意味わかんねぇ…」
するとトゥイスがふと真面目な顔をした。
「でもさ」
「?」
「ウォル君と食べるご飯が、一番おいしいよ」
ウォルドは一瞬固まる。
そして顔をそらした。
耳まで赤い。
「……うるせぇ」
トゥイスはまた笑った。
「照れてる」
「照れてない!!」
雲の家の朝は、今日もにぎやかだった。

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